今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(11月第2週)のメニューより

●鶏モツのつや煮    108kcal.  塩分1.9g

鶏モツのつや煮 [材料]  -6人分-

◎鶏モツ
  鶏の肝臓・心臓200g
  鶏の砂肝(すなぎも)200g
   生姜(しょうが)少々
   日本葱(にほんねぎ)少々
・日本葱2本(100g)
・生姜少々
◎煮汁
  醤油大さじ4
  酒大さじ1
  砂糖大さじ3

[作り方]

  1. 鶏の肝臓・心臓と砂肝は、食べやすい大きさに切り、生姜と日本葱を入れた熱湯でサッと茹(ゆ)でる。
  2. 日本葱は、斜めの薄切りにする。生姜は、せん切りにする。
  3. 鍋に煮汁を合わせて煮立て、1の鶏モツと生姜を入れて煮立ったらザルにあけ、汁だけ鍋にもどして煮詰め、またモツを入れる。これを3〜4回繰り返し、汁をからめて皿に盛る。
  4. 鍋にのこった汁で葱を煮て、3に添える。

ポイントはここ


ちょっと一言

  • 「モツ」とは、「臓物」を略したことばで、内臓のことをいいます。牛、豚、鶏の内臓がよく食べられますが、馬、羊、ヤギ、ウサギ、鴨のものも食べられます。肉食の歴史の長い欧米、中国、朝鮮半島、沖縄などは、牛や豚の内臓から血までも全部利用する知恵、料理法がとても発達しています。日本では、肉を食べることにかたよりがちです。
  • 栄養的にタンパク質、ビタミン類、ミネラルが豊富で、消化吸収もよいものです。
  • 買い求めるときは、つやや張りがあり、あざやかな色をした新鮮なものを選びましょう。鮮度が落ちやすいので、購入したら冷蔵庫に保存し、夏は1日、冬でも3日中に使い切りましょう。
  • 鶏の内臓は臭みやクセがすくなく、小さくて扱いやすく、ほかの動物の内臓より、よく食べられています。昔から、鶏はふつうの家庭でもつぶして食べていましたから、内臓にも慣れていたということもあるでしょう。
  • 「肉」に比べて安価で、栄養価にもすぐれている「モツ」に慣れて、おいしく調理するコツを自分のものにしてください。

≪組み合わせメニュー≫
    ◎トマトと玉子の中華風スープ
    ◎グリーンアスパラガスとイカの炒め物
    ◎クラゲの酢の物
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■オール「肉じゃが」
  • 「肉じゃが!」
    若い生徒さんに、「いちばん作りたい料理はなーに?」と訊くと、みなさん判で押したようにそんな答えが返ってきます。彼女たちだけではありません。どうも背後には男性の影が見え隠れします。「おふくろの味」の代表が「肉じゃが」で、女の子に作ってもらって食べたいという強い願望があるみたいです。それが生徒さんに投影されて、「肉じゃが!」の合唱となるのでしょう。
    なぜ「肉じゃが」なのでしょうね。「ママ」ではなく「おふくろ」と呼ぶからには、日本料理でなければならない? スパゲッティだったりステーキだったり、餃子だったりしたらおかしい?

    それはないでしょう。「お母さんが得意とするもので、家族が気に入っていて、ヨソにはない味(料理)」がおふくろの味とすれば、じつはなんだってかまわないのです。他からとやかく言われる筋合いのものではないでしょう。でもその中で、断然トップにあるのが「肉じゃが」というのはいったいなぜなのか、さぐってみるのも面白いかもしれません。

  • 「おふくろの味」の代表というと、かつてはみそ汁・漬物・金平ゴボウなどが争っていたような気がします。それがしだいに朝飯を抜いたりパン食が多くなったりで、みそ汁を飲む人が減ってしまいました。「我が家の味」をはっきりと出せる漬物も、漬ける家が激減しました。代々その家にあった味を絶やしたところがあるかもしれません。金平ゴボウは、あいかわらず高い支持を得ているようですが、「肉じゃが」が急追してきたのには訳がありそうです。
    一説に、「肉じゃが」のルーツはイギリスというのがあります。大英帝国海軍の常食とするビーフシチューにいたく感心したかの東郷平八郎が、わが海軍にも導入しようと創意工夫したのがはじまりで、それが一般に広まったといいます。
    他説では、長崎に江戸時代から似た料理があり、大阪、東京、横浜にもおなじような惣菜があったそうです。ほかに、スキヤキからの転化説というのもあります。いずれにしろ和洋折衷、いわゆる「洋食」です。それらが下地になって、昭和48年ごろ「肉じゃが」の名前が与えられ、全国的に知られるようになったというのですから、意外にあたらしいのですね。

    「肉じゃが」の具は、肉・じゃがいも・玉葱(たまねぎ)の三つが基本です。これに、調味料として醤油、砂糖、みりん(または日本酒)が入ります。甘じょっぱく(甘辛く)、たしかにスキヤキと共通した味です。スキヤキがそうであるように、ここでも主役は「肉(牛・豚)」。つまり人気のポイントは肉ということです。
    いわゆる高度経済成長によって豊かになり、肉嗜好へと傾いてきた食生活の変化が、「肉じゃが」の登場とかさなって短期間のうちに首位の座に押し上げた、そんなところではないでしょうか(テレビ・雑誌等のマスコミの後押しは絶大です)。食の欧米化が、ここでもみごとに証明されているようです。

  • 「肉じゃが」は、ホカホカのごはんでも酒の肴にも合って、たいへんおいしいものです。簡単な鍋のスキヤキよりは、ある程度の調理技術が必要とされます。そこに、「作る」あるいは「作ってもらう」付加価値がつき、上手にできることで高い評価を受けるのでしょう。でも(たぶんにマスコミの影響がありますが)、十人が十人「肉じゃが」志向では、ちょっとさびしい気がします。おなじように作っても、まったくおなじ味になるとはかぎりません。だからといって、おふくろの味がオール「肉じゃが」では、ヨソのお母さんも我が家のお母さんもおなじということになりませんか。

    「肉じゃが」をおぼえるな、というのではありません。ちゃんとマスターしたうえで、自分流の味付けや、ほかに独自の料理を工夫してみてはどうでしょう。これまでの食生活の変化を考えれば、「肉じゃが」がおふくろの味人気ナンバーワンであり続ける保証はありません。マスコミにノセラレルことなく、「ヨソにはない味(料理)」を作ってこそ、その家のおふくろの味として自他ともに認知されるでしょう。もちろん、その家に伝わる「我が家の味」を、しっかりと受け継ぐだけでも十分です。ちなみに私の「我が家の味」は、母がお正月に作ってくれた「だいこんの煮物」、主人のほうは「ナスのみそ炒め」です。


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