今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(9月第4週)のメニューより

●里芋とオクラの炊き合わせ   146kcal. 塩分1.6g(煮汁を含めて)

里芋とオクラの炊き合わせ [材料]  -4人分-

・里芋600〜700g
・オクラ4本
  ◎煮汁
    出汁(だし)1.5カップ
    砂糖大さじ3
    醤油大さじ2
    みりん大さじ2
    塩少々

[作り方]

  1. 里芋はきれいに洗ってなるべく薄く外皮をむき、次に、六面体に皮をむき、1.5cmくらいの厚さに切り、もう一度洗う。
  2. 湯を沸かし、オクラをサッと茹(ゆ)で、水にとる。その湯で里芋を3〜4分茹で、ぬめりを取る。
  3. 鍋に煮汁を合わせ、2の里芋を入れ、紙ぶたをして、やわらかく煮る。
  4. 煮上がった里芋を器に盛り、その残りの汁でオクラをサッと煮て、里芋に添える。
ポイントはここ
  • 里芋は、土のついたものを買って、よく洗います(1)。なるべく薄く外皮をむき(2)、上・下を切り落として(3)から、くっきりと角を立てて、縦(たて)に厚く皮を六面体になるようにむきます(4)。この皮を「内皮」といい、煮物やみそ汁の具にできます。1.5cmくらいの厚さに切ります(5)。内皮も捨てないで、取っておいてください(6)。

    (1) (2) (3) (4) (5) (6)

  • 里芋のぬめりの取り方として、私はふたつの方法を使い分けています。熱湯がある場合(この場合はオクラを茹でた湯)は、 茹で、水に取って洗います。もうひとつは、水気をよく切った里芋に塩をまぶしつけ、ゴシゴシ塩もみしてぬめりを出し、水洗いをして、塩とぬめりを洗い流します。

    オクラを茹でる 茹でて、ぬめりを取る

    紙ぶたをして、鍋ぶたをする

  • 直径24cmくらいの鍋に煮汁を用意し、煮立ったら里芋をくわえます。煮汁は、里芋にひたひた程度になるよう出し汁で加減してください。もう一度煮立ったら、和紙で里芋の表面が乾かないよう、煮くずれをおこさせないように被(おお)います。(和紙の代わりに、固くしぼったガーゼを二重にしてかぶせてもよいでしょう。)さらに、鍋のふたをして、弱火でゆっくり煮ます。
  • 里芋がやわらかくなり、煮汁が1/3くらいになったら、煮物碗に盛り付けます。
  • 残りの煮汁に茹でておいたオクラを入れ、サッと煮て、里芋に添えます。
ちょっと一言
  • 秋が深まってきたら、もみじ型に切って煮たニンジン、茹でた銀杏(ぎんなん)を里芋にあしらい、すりおろしたユズをふり、香りを添えてみてはいかがですか。
  • 皮をむくとき、手に塩をつけると、かゆくなりにくいです。
  • ぬめりがあると、調味料の浸透をさまたげ、泡立ちや、吹きこぼれる原因となります。特に、「含め煮」にする場合、芯まで味を含ませるには表面のぬめりをていねいに取ってください。
  • 2回目にに向いた「内皮」を好みの肉といっしょに炒め煮ができます。里芋のもう一つの味わいが楽しめます。

    ●内皮と牛肉の炒め煮

    内皮と牛肉の炒め煮 [材料] 

    ・里芋の内皮150g
    ・牛肉薄切り120g
    ・さやいんげん20g
    ・サラダ油大さじ1
    ◎A
      キューブヴィヨン1個
      水適宜
    ◎B
      砂糖小さじ2
      醤油小さじ1
      みりん大さじ1

    里芋の内皮の切り方 1 里芋の内皮を食べやすい大きさに切る。
      牛肉は一口大に切る。
      さやいんげんは斜めの薄切りにする。
    2 サラダ油で里芋の内皮を炒め、Aを入れて柔らかくなるまで弱火で煮る。
    3 牛肉といんげんを加え、強火でさっと火を通す。
    4 汁気がなくなったらBで調味して、汁気がないように仕上げる。

    里芋の内皮を炒める 牛肉を加える 味付けして汁気なく仕上げる

  • ひと手間かけて、皮を二度むきすると、もう一つの味が楽しめます。ご飯のおかずはもちろん、酒の肴、お弁当の一品にもなります。ぜひ一度、お試しください。
  • 牛肉だけでなく、豚肉、鶏肉ももちろんおいしくできます。
  • 煮込むとき、キューブヴィヨンを使いましたが、ない場合は水だけでも、あるいはかつおだしなどを使ってもいいでしょう。
  • ここでは青みにさやいんげんを使いましたが、さやえんどう、アスパラガス、オクラなどちょっと加えると彩りもよくなります。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■キラリッ!

お稽古をしていて、教えやすい人がいれば、教えづらいという人もいます。一般的に、反応が返ってくると、説明する側としてはそれが励みになり、いわゆる授業にノッていきやすい。反対に、反応が小さかったりなかったりすると、理解できているかな、面白くないのかしら、と不安になるものです。

「反応」の目安になるのは、目の動き、体の表情、私語のあるなしといったものから、質問の多寡とか内容とかいろいろ要素があります。概して言えば、何らかの手ごたえを感じるということになるでしょう。

料理に限りません。教える方と習う方、説明する側とされる側、話し手と聞き手などコミュニケーションを発する人間と受けとる人間の関係性においてすべて当てはまることです。

ただし、これを「額面通り」に受け取るわけにはいきません。経験から言うのですが、反応があるからといって理解しているとは限りませんし、反応がまったくないから理解も興味もないと判断しては早計です。

料理は作るものです。いくら頭でわかっても、実際に手を動かして作業できないことには何にもなりません。おいしく食べられるものをこしらえてこそナンボの世界(?)です。とは言うものの、私自身がにぎやかな性格ですから、無口でおとなしい生徒さんよりは、即反応が返ってくる生徒さんの方にどうしても目が行きがちです。

でも、「反応」は、ほとんどその人間の性格によります。肝心なのは「ヤル気」、覚えたいという「意欲」です。そして、お稽古をする以上は、みなさんその意欲はお持ちなのですから。

ここに一人の生徒さんがいます。 I さんといいます。20代後半です。友達と二人で来ていました。そろって無口で、お稽古中もほとんどしゃべりません。とりわけIさんは無表情で、楽しいのか楽しくないのか、意欲があるのかないのか、外見(そとみ)にはまったくわかりません。むしろ、全部否定的でした。3ヶ月持つかな、と思ったほどです。

それが一年通ってめでたく卒業です。皆勤でした。友達はまもなく結婚しました。 I さんだけ2年目のクラスに進みました。一年後これも無事終了しました。さらに上の専攻科(月1回)を続けて、今年で3年目に入りました。

先日の授業です。白玉粉で作る中華の胡麻団子でした。この団子を作るのが難儀なのです。水を少しずつ入れて練っていきますが、少ないとボロボロになり、多いとドロドロになるというまったくもって扱いにくい。中にアンコを入れるときはもっと厄介です。団子を伸ばそうと手に水をつけ過ぎると、アンコが飛び出します。アンコと白玉が交じり合って、白黒決着がつかない(?)状態になります。

5人グループでみんなもてあまし気味です。例によって I さんは、一人黙々と取り組んでいます。見ると、とてもきれいに作っているではありませんか。上手に伸ばしてアンコを入れ、胡麻をつけ、油で揚げると大きくふくらんで、それは見事な胡麻団子が出来上がりました。全員拍手です。目を見張りました。私も脱帽です。

みんなの羨望の的となりました。感心した私は、大いに褒めました。4年間で、あんなに嬉しそうな顔をした I さんを見たのは初めてです。

I さんは、本当に料理が好きなのです。彼女を見ていると、そのことを表情から窺い知るのは難しいのですが、好きだからマイペースでも続けられたのだと思います。続いただけではありません。同期のだれよりもうまくなりました。まさに、「好きこそ物の上手なれ」です。

キーワードは、「好き」。だから、一見正反対に思われる、「下手の横好き」だってかまいません。歓迎します。私自身、そうだからです。人一倍不器用で通っています。器用・不器用は生まれつきで、いたしかたのないもの。上達に差が出てくるのは当然です。下手でもなんでも、好きなものは好きなのです。続けさせてください(?)というしかありません。下手な中にも、キラリッ!光るものが見つかるかもしれないのです。


§【ご意見、ご感想をお寄せください。ご質問もどうぞ。】 ichiban@kateiryouri.com


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