今 週 の レ シ ピ

・専攻科(10月)のメニューより

●豚肉とインゲンの炒め物   157kcal. 塩分1.4g(インゲンの塩5gは除く)

豚肉とインゲンの炒め物 [材料]  -6人分-

・豚もも肉薄切り150g
◎A
  醤油(しょうゆ)大さじ2
  砂糖大さじ1
◎B
  片栗粉大さじ1
  油大さじ1
・インゲン200g
  炒め油大さじ1
   ◎C大さじ1
     塩小さじ1
     湯1カップ
・春雨50g
・葱(ねぎ)、生姜(しょうが)のみじん切り各小さじ1
・炒め用油大さじ1
・酒大さじ1
・醤油大さじ1

[作り方]

  1. 豚肉は2cm幅に切り、Aで下味をつける。
  2. インゲンは筋をとり、5cm長さに切り、中華鍋に熱した油で炒め、Cを加え、ふたをして煮て、火が通ったら汁気を切る。
  3. 春雨は茹(ゆ)でて、10cm位に切る。
  4. 中華鍋に油を熱し、葱(ねぎ)、生姜(しょうが)のみじん切りを炒め、Bを加えた豚肉を炒める。
  5. 豚肉に火が通ったら、酒をふりかけ、インゲン、春雨を加えて炒める。
  6. 醤油を鍋肌から回し入れ、手早く炒めて仕上げる。
ポイントはここ
    下味付けは手でよくもみこむ
  • 豚肉は、もも肉の代わりに、ちょっと脂っぽいのが好きな人は肩肉、三枚肉を使ってもおいしくできます。
  • 下味付けは、直径20cm位のボールに豚肉を入れ、醤油、砂糖をかけて、手でよくもみ込みます。
  • インゲン200gを茹(ゆ)でるには、すくなくとも5〜6カップの熱湯が必要です。中華鍋を使って油で炒めてから湯と塩を使うと、短時間でつやよく薄い塩味のついたインゲンが準備できます。

    湯と塩を加える ふたをして蒸し煮 汁気をよく切る

  • 春雨は、「緑豆春雨(りょくとうはるさめ)」を熱湯で5〜6分茹で、冷水にとり、10cm長さ位に切ります。
  • 材料の下準備ができ、仕上げに入る直前に、豚肉にBの片栗粉を加えてよくもみ、油を加えてさらによくもみます。
  • 中華鍋を弱火にかけ、油を加え、あまり熱くならないうちに葱(ねぎ)、生姜(しょうが)のみじん切りをこがさないように炒めます。
  • 豚肉を加えたところで弱火にし、火が通ったら、酒を振り入れます。熱くなっているところへ酒を入れると、アルコール分がとび、酒のうまみだけが残ります。
  • 醤油は熱い中華鍋の鍋肌から入れますと、香ばしい焼き醤油となり、料理に深みが増します。

    酒を振り入れる 春雨とインゲンを加える 醤油は鍋肌から

ちょっと一言
  • インゲンの代わりに、ニンニクの茎はいかがですか。
  • インゲンの下準備の方法は、ほかにニンニクの茎、アスパラガス、青梗菜(チンゲンサイ)などにも使えます。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■自分の命

このほど甲府に、ペット用のセルフ式シャンプールームなるものがオープンしました。犬を連れて行って、飼い主がそこで体を洗ってあげるというもの。ブラシヘッドが付いたシャワーやらドライヤー、エアコンが完備し、防水エプロン、タオル、シャンプー道具が借りられるので、ペットだけ連れで行けばオーケー。スタッフがいて、洗い方など相談に応じてくれるというのです。

私もときどき利用しますが、セルフ式のガソリンスタンドもあちこちにできています。このように設備と道具がそろい、インストラクターが待機してアドバイスを受けることができる。近頃、こんな方式がハヤっているようです。そのうちきっと料理部門でも、「クッキングレストラン」というものがあらわれるかもしれません。

調理する設備、道具が備えてあり、インストラクターがいて作り方を教えてくれる。レストラン並みの豪華なサロンが付随していて、できあがった料理はそこで食べる。和食であれ中華であれ、西洋料理なんにでも対応できる広い厨房内で、万能のシェフがひかえて丁寧に教えてくれる。

…と、ここまで書いて、アレ?ちょっと待ってください。 これって料理学校(教室)そのものではありませんか! 場所によっては試食するところが、レストラン並みとはいきませんが、方式からいえば、まったくのセルフです。

設備が整い、道具から材料から食器から、すべて用意してあるところへエプロンと筆記用具をもっていくだけ。あとは、インストラクター(講師、助手)の言うとおり、自分で作って、食べて、後片付けの順序でいくのですから、なんのことはない、料理学校はセルフ式そのものです。

ナーンダ、です。時代の先端をいく最新のニーズのように思っていましたが、昔からあって、実際にやっていたというわけです。「料理学校」という名前で。灯台もと暗し、でした。

「セルフ」の対極が「サービス」です。レストランなどで、作ってもらったものを食べるのはサービス、「してもらうこと」つまりゼイタクというわけです。レストランに行かなくても食べさせてもらえるなら、もっとゼイタクです。作って届けてもらう出前があります。目の前で作ってすぐに食べられるのは、さらなるゼイタクということになります。

おなじ食べるなら、おいしいに越したことはありません。腕のいい人に作ってもらい、おいしいものが映える器もあるといいですね。それに見合ったテーブルやイスも欲しい。ミュージックが流れ、それも生演奏なら最高、だったらダンスもあれば…いやはやキリがありません。

サービスに際限はなさそうです。そんな中でセルフ式がハヤりだしたいうのは、人からサービスをうけるばかりがゼイタクではなく、自分で自分にサービス(セルフサービス)しても苦にならない、ことによったらむしろそのことで反対に、よりゼイタクさえ感じる部分があるということです。

料理学校が昔からあったということは、食事は作ってもらうだけでなく、自ら作るのも楽しく、ゼイタクを感じるところがあるということでしょう。 ただし人間は多様です、複雑です、よって不可解です。人によってゼイタク感がちがいます。おなじ人間がおなじものに対しても、ゼイタクに思う時とそうでない時があって厄介でもあります。それを考えると、どうやら一番のゼイタクとは、選択肢があって、そこから時と場合に応じて自由に選べるというところに落ち着きそうです。

食にあてはめると、現代は選択肢に満ちています。気軽に外で食事ができれば、出前もとれる、作ったものも半調理のものも豊富に出回っています。でもこれに経済的要素、家庭環境ほかもろもろの条件が絡み合うと、自由があるようで現実は制約を受けていると感じるかもしれません。それでも選択肢は厳として存在するのですから、自分で作るしかなかったころに比べるとはるかに幸福といえます。

迷うことはないのです。ことは健康(命)に関わります。「自分の命は自分で守る」、この支点をはずさないかぎり、なにを選択するかはおのずと導かれるはずです。


§【ご意見、ご感想をお寄せください。ご質問もどうぞ。】 ichiban@kateiryouri.com


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