今 週 の レ シ ピ |
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・アドバンスクラス(4月第2週)のメニューより●サザエのつぼ焼き 43kcal. 塩分0.9g
[材料] -6人分-
・サザエ 6個 ・エビ 小6尾 ・鶏胸肉(とりむねにく) 50g ・生椎茸(なましいたけ) 3個 ・三つ葉 少々 ・一番出汁(いちばんだし) 3カップ ◎A 塩 小さじ1/2 醤油(しょうゆ) 小さじ2 みりん 大さじ1
[作り方]
- サザエはよく洗い、熱湯で3〜4分くらい茹(ゆ)でる。スプーンの柄(え)で身を持ち上げながら、ひねるように取り出し、薄切りにする。
- エビは背ワタをとり、殻(から)をむき、二つくらいに切る。
鶏肉は、小さめのそぎ切りにする。
生椎茸は、そぎ切りにする。
三つ葉は、3cm長さに切る。- 一番出汁にAをくわえ、吸い物の味にととのえる。
- サザエの貝殻に1と2を詰め、3の汁を張る。
- 直接火にかけ、煮立てる。
- 焼き物皿に塩をしき、その上に盛る。
ポイントはここ
- サザエはつつくと、サッとふたを硬く閉めるものが新鮮。冷水でよく洗い、殻ごと熱湯に入れ、強火で3〜4分茹(ゆ)でます。湯から出して、手に持てるくらいに熱が抜けたら、身を取り出します。殻を回し、身をひねるようにして取り出します。
ワタが切れて殻の中にのこると、殻を器(うつわ)として使えませんので、注意して取り出してください。
殻ごと茹でる ワタを取る 身を薄く切る
- サザエの殻の中に、火が通るように鶏肉を下に入れ、エビ・サザエ・椎茸などをその上にのせます。
- 一番出汁に味付けをし、冷たいまま、具を入れた殻の中にそそぎます。あとで直火(じかび)で焼きますので、そのときおいしい清汁(すましじる)になります。
- 金網を火にかけ、直接貝をおいて煮ていき、沸騰直前に三つ葉を加え、仕上げます。
具を入れる 直火にかける 三つ葉を入れる
- 焼き物皿に塩をしき、貝が動かないのうにします。塩は安定させるのと、海のイメージのためです。
ちょっと一言
- 獲りたてのサザエを浜辺などで殻ごと直火で焼き、醤油で味付けして食べる料理があります。最近は、バーベキューにも登場しています。ここでは、食卓で食べやすいように、殻を器にして二・三種の具をサザエの身といっしょに入れ、汁を加えて、熱して吸い物としました。我が家では、ひと月遅れのひな祭りに登場します。
- 皿にしいた塩に、燃料用アルコールをふくませ、火をつけますと、つぼ焼きがコトコト煮え立ちます。部屋の明かりを消し、おひな様のぼんぼりの灯の中で、ちょっと幻想的な感じになります。
- この皿は、母がつぼ焼き用にと大切にしていました。「波打ち際」のイメージです。一年に一度、かならず出してきて、授業で思い出話です。
アルコールで煮立てる つぼ焼き用の皿
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み |
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■「一期一味」世の中には、ちょっとした偶然というものがあります。
Kさんは去年の9月からお稽古にきています。神戸から越してきました。神戸と言えば、阪神淡路大震災。Kさんも神戸のマンションであの地震に遭いました。明け方、夢うつつの中で激しい揺れに見舞われ、しばらくは何が起きたかわからなかったそうです。部屋がメチャメチャになりました。パジャマの上に外套をひっかけ、素足にサンダル履きで外に飛び出しました。余震が続いて建物の中にはいられません。寒さより恐怖です。わけもなくフラフラ歩いているうちに、偶然、会社の同僚に呼び止められます。その夜は、言われるままに同僚の家に泊めてもらいました。そこは六甲の上の方にあって、被害は受けなかったのです。そして、ここでも思いがけない体験をします。
神戸の地震は「1.17」でした。この季節にだけ食べられるものがあります。「アコヤガイ」。友達の家は、真珠関係の仕事をしています。その夜のメニューは、アコヤガイの刺身だったのです。生まれて初めてだったそうです。(わたしも食べたことはありません)
多くの人が食べ物も飲み物もない混乱状態の中で喘いでいるのに、自分は珍味中の珍味をごちそうになっている。不謹慎にも、おいしい。喜んでいいのか悲しんでいいのか、とても複雑な気持ちだったとKさんは当時を述懐します。生涯二度とあじわえない味だったでしょう。
Kさんの実家は大阪です。仕事先が神戸で一人暮らしをしていましたから、なんとかして実家に帰ろうと思いました。翌日、大阪まで電車が動いていることを知り、乗れる駅をさがしてようやく実家に辿り着きました。友達のおかげで避難所生活は経験しませんでしたが、10年たった今も、家具のある部屋では眠られないそうです。
このあいだの4月1日、Sさんが「体験入学」してきました。甲府にきて5ヶ月です。出身は十日町市。そうです、昨年10月23日に起きた「新潟県中越地震」の激震地のひとつです。地震当日は、Sさんの結婚式だったと言いますから驚きです。会場は十日町から少し離れた柏崎市です。
夕方5時56分、地震が発生したそのときは、披露宴も済み、式場内で新郎新婦と友達同士、二次会の待機中でした。豪華に飾られた会場が、あっという間に物が散乱し、足の踏み場もない状態となりました。
スワッと避難所に向かおうとしましたが、Sさんはウエディングドレスのまま。いくらなんでも不自由だし、外は暗くて寒い。大急ぎで着替え、上にはパジャマを着込みました。他の出席者も、目一杯めかし込んできています。着替えたくても、着替えはありません。皆、そのままで避難所に飛び込みました。
Sさんのパジャマは新婚旅行用のものでした。そこから予約していたホテル(長野県と山梨県)に電話、事情を説明しました。ホテルからは、気の毒がってキャンセル料も請求されなかったそうです。
一方、披露宴後、親戚の面々は、専用バスで十日町に戻るべく5時に会場を出発しました。その途中で地震に襲われました。道路が寸断され、交通網は大混乱。あっちへ回り、こっちを回りして、ふだんなら1時間もかからない距離を、14時間かかって翌朝の7時、ようやく帰り着いたそうです。
市内には、倒壊の危険ありの赤紙が張られた建物であふれていました。さいわいなことに、Sさんのところは無キズでした。それでも、余震が強くて家にはいられません。家族は車庫に寝泊りしました。
食べたのは、なんと「お赤飯」。結婚式から持ち帰ったものです。この非常時にお赤飯とは?! Kさんのアコヤガイ同様、こちらも二度とあじわえない「複雑な味」がしたことだと思います。
それぞれ大地震を経験したKさんとSさんが、なんの偶然か、たまたまこの料理教室で出会ってしまったのです。場所と時間はちがっても、どれほどたいへんな思いをしたか、経験しない者にはわからないことです。「よかったわね!」二人とも、手を取り合って互いの無事を喜び合っていました。
そんな未曾有の恐怖体験をした二人が、よりによって甲府にくるというのも「因縁」です。 というのも、このほど国から発表された(3月23日)『全国を概観した地震動予測地図』によると、今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる確率が一番高いのは静岡県浜名湖周辺で、これに次ぐのが山梨県です。「南海トラフトの地震の影響度が最も高いほか、糸魚川―静岡構造線断層帯の地震の影響も見られる」と、なんとも恐ろしい予測をしています。それも、「公式」にです。(加えて富士山の噴火もあります)
神戸・新潟ともに、大地震の襲来は「まさか」でしたが、山梨県に起きたとすれば、「やっぱし」(甲州弁。「や」にアクセント)です。お二人とも、転住先でふたたび地獄を見ないともかぎりません。そのとき側にいてくれたら、わたしたちはどんなに心強いかと思うのですが、そうならないように願うばかりです。
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