今 週 の レ シ ピ

●ほうれん草のクルミ和(あ)え

ほうれん草のクルミ和え [材料]  -6人分-

・ほうれん草1把(わ)(塩少々)
・クルミ10個
・醤油大さじ1.5
・砂糖大さじ1.5

[作り方]

  1. ほうれん草は洗って、熱湯で茹(ゆ)で、水で冷やし、水気をしぼって長さ3cmに切る。
  2. クルミはサッとゆで、薄皮を竹串でむく。
  3. すり鉢にクルミを入れ、よくすり、醤油と砂糖で調味し、この中にほうれん草の水気を切って混ぜる。
ポイントはここ
  • ほうれん草を和え物にするときは、少し短く長さ3cmくらいに切ります。こんもりと、小鉢に盛りやすいと思います。
  • クルミは、味のついていない生を用意します。熱湯に入れ、サッとゆでて水にとり、竹串で薄皮をむきます。すりつぶして使いますので、薄皮の取りにくいところは、細かくして取り除いてください。
  • クルミはすり鉢で充分すりつぶし、そのあと調味します。

    充分すりつぶす 調味料を入れる よく混ぜる

    ほうれん草をクルミの和え衣に入れる

  • ほうれん草の水気は、しっかりしぼってからクルミの和え衣に入れ、よく混ぜます。
ちょっと一言
【野口料理学園】

塩 ひ と つ ま み

■栗が剥(む)けない

今週のお稽古は「栗ごはん」です。いつものように、近所の八百屋さんに材料の栗を買いに行きました。
―あら、栗は売り切れ?
さすがは旬のものです。売れ行きがいいようです…と思ったのは早呑み込みでした。

―すいません、先生。仕入れてないんです。
―えーっ、市場になかったの?

思わず、今年は不作なの?と聞こうとすると、
―いいえね、市場にはいいものがいっぱいあるんです。でも、仕入れてきても売れないんですよ。もう、誰も買わなくなっちゃってね…。
おかみさんは、申し訳なさそうに言います。

そういえば、2週間ばかり前のお月見のあたりです。この季節、はじめて店先に栗を見ました。粒の大きいしっかりした栗でした。

並んだ栗はとても立派でしたが、そのままで、日に日に干からびていくのに気付いていました(私は毎日のようにその八百屋さんに行っては買物をします)。ある日一遍になくなったので、てっきり売れたのだと思っていました。

そうじゃなかったんですね。ということは、この辺の方たちは、栗を剥(む)くのをやめたのでしょうか。栗ごはんに使わないだけでなく、甘露煮も渋皮煮も煮ないということなのでしょうか…。

5〜6人の家族で栗ごはんを炊くとして、大きいのが10個もあればいいでしょう。その10個の栗の皮を剥くのも“大仕事”なのかもしれません。ほんのちょっぴり力と技が要ります(専用の栗剥き器もあります)。だからといって、自分で剥くところに価値がある、とはいいません。単純に、調理前に剥いたほうがおいしくできるからです。

デパートでも栗を見かけなかったので、店員さんに尋ねてみました。“きょうは出ちゃいました”という返事。完売といっても、置いてある数量はたくさんというわけではないようです。捜しても見つからないというほど棚の横っちょで、存在感は薄いのです。

じつはそのデパートの地下で、先週1週間、私はケーキを売っていました。先週は5週目で調整のため、お稽古は休みでした。折りよく、デパ地下でケーキを売る話が舞い込んで、毎日、私は自分で焼いたケーキを運んでいって、そこで売り子さんとしてブースに立ってもいました。

お惣菜コーナーが真向かいにあります。店内でいちばんお客さんが集まる場所、といってもいいでしょう。見知った人が随分買いにきています。あれ、この人も、あら、あの人も!料理の腕も経験もある人たちです。ナンダカ見てはならないものを見てしまった感じです(?!)

まさか向かい側に知り合いの私が立ってケーキを売っているとは思わないでしょうから、ほとんどの人は気がつきません。私は私で、顔を合わすのではないかと気が気でなりません。

みなさん、共通点があります。ご近所もそうですが、いずれも中高年、年配の方々です。子供さんたちは核家族となって独立し、ご夫婦か一人暮らし。昔とくらべて家族員数が減りました。料理の腕をふるう機会も相手もいなくなり、自分たち自身が食べる量もめっきり少なくなっています。体力の衰えとともに、作る張り合いがなくなったのでしょう。

お惣菜を買うからどうのと言うつもりは毛頭ありません。私にだってこの先、栗を剥く力がなくなる日、剥こうという気力が湧かないときが、こないとも限らないからです。


§【ご意見、ご感想をお寄せください。ご質問もどうぞ。】 ichiban@kateiryouri.com


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