今週のレシピ

・ブライダルクラス(5月第1週)のメニューより

● りんごコロッケ ●   239kcal. 塩分0.9g

りんごコロッケの写真 [材料]  -6人分-

・「乾燥マッシュポテト」100g
◎A
  塩小さじ1/2
  コショウ少々
  牛乳1/2カップ
・熱湯1カップ
・合びき肉100g
・玉葱1/2個(100g)
・油小さじ1
◎B
  塩小さじ1/2
  コショウ少々
・小麦粉適宜
・卵適宜
・パン粉適宜
・揚げ油適宜
◎付け合わせ
  キャベツ
  パセリ
  [作り方]

  1. ボールに「乾燥マッシュポテト」とAを入れ、熱湯を注ぎ入れて軽く混ぜ、ふたをして5〜10分おく。
  2. 合びき肉と玉葱のみじん切りを、フライパンで充分炒めて火を通し、Bで下味をつける。
  3. ふっくらと戻った1のマッシュポテトに2を加えて混ぜ合わせ、12個に丸める。
  4. 3に小麦粉、卵、パン粉の順につけてから、小指で1箇所軽くクボミをつける。
  5. 180℃位の油で転がしながら、均一のキツネ色に揚げる。
  6. 長さ2a位のパセリの茎を、くぼみに刺す。
  7. 大皿の中央にキャベツのせん切りを置き、まわりにコロッケを盛り合わせる。
ポイントはここ

ちょっと一言

  • 「先生、材料にりんごがありませんが、ミスプリですか?」。このレシピのとき、かならず生徒さんから出る質問です。「いえ、いえ、形がりんごってことよ」。このレシピをメニューに入れて以来30年、毎年こんな会話が交わされます。
  • なぜ、りんごか…いわゆる小判型より丸い方がコロコロ転がすことで、均一に小麦粉・卵・パン粉がつき、揚げるときも色がきれいにつきます。パセリの茎をさして仕上げると、これもかならず聞かれる反応、「わー、かわいい!」
  • コロッケは、昔から歌にも唄われるほど日本の家庭の定番メニュー。子供から大人まで、大好きなおかずのひとつです。元をただせば、西洋料理の「クロケット」、ワインのコルク栓の形から名付けられ、肉や魚料理の付け合わせなのです。
    日本ではそれがメインディッシュとなり、付け合わせはキャベツのせん切り、ソースはウスターソース、とんかつソース、ケチャップとお好みしだい。今では「コロッケ」は、「日本料理」といってもいいのではないでしょうか。
  • 今回使用した「乾燥マッシュポテト」は、ボールに用意した「粉末」に熱湯を注ぐタイプです。ほかに、熱湯の中に「粉末」を加えるものもあります。かならず製品の箱、あるいは袋に書いてある「使用法」を読んでから使ってください。
≪組み合わせメニュー≫
  ◎豆腐とわかめのみそ汁
  ◎ひじきの煮物

【野口料理学園】

塩ひとつまみ


■ジュニアクラス

  • 「センセー、これどうするの?」「見て見て、センセー」「これでいいのかなあ?」「どの鍋を使うの?」「わあ、うまくいったぞ」「ダメー、しーっぱーい!」ワイワイ、ガヤガヤ、教室は大騒ぎです。月1回土曜日の午前中、小学1年から中学3年まで、10数人の子供たちがあつまる「ジュニアクラス」の授業風景です。こちらは息つく暇もありません。助手さんと二人、15人位までならなんとか統御できますが、それ以上になると、カオス…。そこで、30人ほどを学校が休みになる第2と第4土曜日の二つに分散、お稽古日としています。
  • 調理台からやっと肩がでている小1の子もいれば、私が肩までしか届かない大人並みの中学生もいます。半分は男の子です。彼らに料理は女の子、という先入観はなく、性別に関係なしに料理に興味をもって通ってきます。自分から習いたいと言いだす子や、親から勧められてくる子などいろいろです。動機はどうあれ、義務教育ではないので嫌だったらいつでも止められます。総じて長く続く子が多いようです。大概は小学校卒業まで通います。なかには、クラブ活動に忙しくなる中学生になっても続ける子供もいます。月1回といえども5〜6年はやっていますから、ちょっとした腕前です。小さい子たちはこんな先輩に敬意を払い、上級生もまたごく自然に後輩たちの面倒をみます。
  • A君もそんな一人。年上の友達B君の紹介です。B君のほうは小学1先生から中学3年生まで目いっぱい通ってきた子でした。ある日「友達連れてきたよ。面倒見てやって」と、さり気なくA君をおいて(?)いきました。4年生のときです。おとなしい子でマイペースで黙々とやります。美容院の母親が忙しいせいで自分が料理することもあり、最初から意欲的でした。習った料理はうまくできるまで何度も復習するという熱心さです。今でも、みんなが顔をしかめる玉葱のみじん切りを、みごとにきざんで模範を示してくれます。よく料理本を買ってきては研究しているようで、根っから料理が好きな子です。
  • 彼が入学して1年ほど経った頃でした。「天才的な料理の腕を持った子供はいませんか?」と東京のテレビ局から問い合せがありました。料理自慢の子供を全国からあつめてスタジオで実演させる番組です。よほどA君を推薦しようかと思いました。できるといっても天才的なほどではないし、自慢するような性格でもないところから、彼の将来にプラスする確信を持てなかったのでしませんでした。テレビ局の話では、関東にある料理学校100校ほどに、子供のクラスがあるかどうか片っ端から電話したそうです。夏休み・春休みなどに単発で子供教室や親子教室を開くところはあるけれど、常設は当校だけということでした。
  • Cちゃんは、手がつけられないほどやんちゃな子でした。助手さんや私を独占したがって、いつもダダをこねます。正直なところ、お母さんに言って、やめてもらおうかと思ったのは一再ならず、文字通り、匙を投げかけました。ところが5年生になって、妹が入ってきたあたりから様子が変わりました。驚くほど素直になりました。それだけではありません。率先して下の子たちの面倒をみるようになりました。それも、私たちが彼女をさとしていたのと同じようなやり方です。思わず、助手さんと顔を見合わせ笑っちゃいました。中学生になってからは「わたし、保母さんになるんです」と将来の進路まで決めていました。さんざん手をやかせていた頃の彼女からは、想像もできません。
  • これなのです。これがあるから子供のクラスはやめられません。料理の知識や技術の向上もそうですが、子供たちの人間的な成長を、ある日突然目の当たりにすることができるのです。目をみはる劇的な変化です。感動といっていいでしょう。かけがえのないものを見つけた思いがします。大人のクラスでは絶対に味わうことができない希少な発見です。(つづく)

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