今 週 の レ シ ピ

専攻科のメニューより
●ムール貝のマリネ

ムール貝のマリネ [材料]  - 4人分 -

・ムール貝8〜10個
・白ワイン1カップ
◎A
  タマネギ1/4個
  ニンジン3cmくらい
  黒オリーブ2個
  緑オリーブ2個
  キュウリピクルス小1本
  パプリカ1/8個
◎B(フレンチソース)
  サラダ油大さじ2
  酢大さじ1
  塩小さじ1/2
  コショウ少々
  レモン汁大さじ1/2
・パセリ

[作り方]

  1. ムール貝はよく洗い、貝の周囲はきれいにし、水気を切っておく。
  2. 厚手の鍋にムール貝を入れ、火にかけ、白ワインをかけて、ふたをしてしばらく蒸すようにしてムール貝の口を開ける。
  3. Aの材料を、全部みじん切りにしておく。
  4. Bの材料を合わせて、ソースを作っておく。
  5. ソースに、みじん切りの野菜を全部入れて漬け込む。
  6. 口を開いたムール貝の上に5をたっぷりのせ、味が貝に充分しみたところで皿に盛り、パセリを飾ってすすめる。
ポイントはここ
  • ムール貝は、他の貝殻や海草がたくさんついています。少し手間はかかりますが、金だわしでゴシゴシこすって、表面をきれいにしてください。

    洗う前のムール貝 みがきあげた!!ムール貝

  • 直径24cmの浅い鍋にムール貝を入れ、火にかけ、白ワインをかけてふたをします。ムール貝が口を開けたら、なるべく早く鍋から出してください。火が通りすぎると、貝が小さくなって硬くなります。

    白ワインをかけて 口を開けているムール貝

  • 野菜のみじん切りは、2mm角に切りそろえてください。特にニンジンは大きくなりがちですから、気をつけましょう。
  • 切った野菜はフレンチソースに入れてよく混ぜ、ムール貝の上にフレンチソースを充分含ませて、たっぷりのせます。

    2mm角の野菜 ソースと混ぜる たっぷりのせる

  • 30分以上たって、味が貝にしっかりまわったら、皿に盛ります。
ちょっと一言
  • 30年ほど前、ムール貝は甲府では簡単に手に入れることができませんでした。大きなクーラーボックスを担いで、東京まで仕入れにいきました。今のように「クール便」の宅配などありませんでしたから。
    学園の授業や婦人団体の講習会で使いますと、「初めて見ました」という声がほとんどで、中には、「珍しいから貝殻をください」という人まで現われました。
  • ムール貝だけではなく、大きめのハマグリ、ホタテ貝、白身魚などでもいかがでしょうか。
塩 ひ と つ ま み

■砂時計

お稽古の最中でした。クシュクシュ、クシュクシュと音がします。隣のテーブルにあるトマト缶です。
5分もすると、こんどはもっと大きな音で、プシュー、プシューと唸り出しました。

「爆発するかもよ」
と皆をおどかしておいてから、缶詰のプルタブを引いてふたを開けると、ドドッと中身のトマトがあふれ出しました。

忘れていました。3ヶ月ほど前、キムチを作るのに、白菜の下漬けの重石用にのせて、誤ってテーブルから落としていました。強打してゆがんだ拍子に隙間(すきま)が生じ、どうもそこから空気が入り込んだようです。トマトが徐々に腐敗し、ガスがじわりじわりたまって、90日後に突如、噴き出してきたのです。

ひとりの生徒さんが言いました。
「先生、その缶詰、落としたかしました?」
ズバリ正解です。その生徒さんも、おなじような経験をもっていました。ほかにも、桃缶を開けたら黒く変色していたという生徒さんもいます。こうした事例は少なくないようです。

ふたがプルトップにかわって、従来のものより強度が低下したのでしょうか。缶切りがいらず、引けば簡単に開けられるようになった反面、落としたり強い力が加わると、継ぎ目あたりにひずみが出やすいのかもしれません。

缶詰については、「へこみ」はいいけど「ふくらみ」に要注意とよく言われます。いわゆる「へこ缶」のへこみはただのへこみですが、「ふくらみ」のほうは、中の食品が空気中の酸素と反応したことでガスが発生し、缶の内部が膨張しているからです。酸化によって腐り、食べられない状態です。

例外もあります。スウェーデンのニシンの発酵食品の缶詰などは有名です。最初からパンパンにふくらんだ状態で、開けたときの吹き出しが相当に強烈(臭いもかなり)なことから、室内では絶対に開けるなという警告が表示されているそうです。私は見たことがありませんが、そこまで言われると、恐いながらもちょっと試してみたい気もします…。

表示といえば、いわゆる「注意書き」の文字が、ひと頃よりずいぶん小さくなりました。
「開缶後はすみやかにお召し上がりください」「使い残しはガラスなどの器に移して冷蔵庫に保存し、お早めにご使用下さい」などの表示は、以前は“これ見よがしに”、いやでも目につく大きな文字でした。

目立たなくなったということは、それだけ、開けたあと放置しておくと中身が変質しやすいということが周知されてきた証拠でしょうか。それとも、ブリキ缶と比べてスチール缶やアルミ缶が変質しづらいのか、あるいは食品の中に酸化を防止ないしは抑制する成分が含まれるようになったのか、詳しく専門家に聞いてみたいところです。

つぎのような、文字縮小の例もあります。
ホワイトアスパラガスです。「底部をお開き下さい」が、目立たなくなっています。プルトップになったからでしょう。お分かりのように、ホワイトアスパラは、開けるときは底のほうを開けます。

ご存知ない方のために説明すると―。
缶詰のホワイトアスパラは、火を通してゆでてあります。ということは、アスパラ全体がとても柔らかい。とりわけ頭の部分は、それこそビミョーです。缶の上部を開けてつまもうとすると、先端がくずれる心配があります。そこで、わざわざ底部を開いて茎のほうから出そうというわけです。

であれば、はじめから逆さまにしておけばよさそうですが、そうもいきません。いま言ったように頭の部分がデリケートなので、逆さ状態にしておくだけでくずれてしまいます。形がくずれたからといって味にかわりはないのですが、盛り付けのときに格好がつきません。そこで、ふだんは正常の状態でいて、いざ開けるというときにひっくり返ってもらうのです。

缶切りを使っていたときは、ついあわてて上を切ってしまうことが多かったのでしょう。字を大きくして、注意を促す必要がありました。プルトップの登場で、上下まちがうことはなくなりました。否応なしに「そこ」を引っ張ればいいのですから。

ホワイトアスパラガスのうま味と弱点、缶詰の特性を知り抜いた上での組み合わせです。あっと驚く天地ひっくり返しのアイデア、「砂時計」を思わせるこの大技は、いったいだれが考えたのでしょうね。

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【野口料理学園】


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