今週のレシピ |
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・ベーシッククラス(3月第2週)のメニューより●ピンパンT(中国料理の前菜) 129kcal. 塩分1.6g
[材料] -6人分-
・クラゲ 70g ・鶏胸肉 100g 塩/胡椒 少々 葱/生姜 少々 日本酒 50cc 水 50cc ・ハム 4枚 ・キュウリ 1本 ・トマト 中1個 ◎A(合わせ酢) 酢 大さじ3 醤油 大さじ2 胡麻油 大さじ1 砂糖 小さじ1
[作り方]
- クラゲ…水につけて塩抜きをし、サッと熱湯に通し、もう一度水に入れて充分もどす。Aを合わせた中につけて、すぐ取り出し、大皿の中央に盛る。
- 鶏胸肉…塩/胡椒をもみ込み、下味をつける。鍋に、包丁でたたいた葱/生姜を入れ、その上に皮を下にして鶏肉をおき、日本酒と水をかけ、ふたをして蒸し煮にする。熱が抜けたら、薄いそぎ切りにする。
皮を下にして 蒸し煮 そぎ切り
- ハム…6等分に切る。
キュウリ…板ずりして、斜めの小口切りにする。
トマト…くし形に切り、それをさらに飾り切りにする。- クラゲを盛った大皿に、2と3を美しく盛り付け、Aをかけて、取り分ける。
ポイントはここ
水で塩抜き サッと熱湯に通す 水で充分戻す
- クラゲは、塩漬けにしたものを円形のままか、細くせん切りにして売っています。せん切りにしたものの方が、簡単に手に入ります。いずれも、塩出しを充分にして使います。円形のものは、塩出しがすんだら、巻いてせん切りにします。
塩出しがすんだかどうかは、1本噛(か)んでみるのがいちばんです。塩辛くなかったらOK。つぎに、熱湯を用意し、クラゲを入れて縮んだらすぐに冷水にとります。30分〜1時間すると、ふっくらとしてコリコリした歯ごたえのあるクラゲになります。
そのまま盛り付けないで、用意した合わせ酢の中をくぐらせてから、すぐ大皿の中央に盛り付けます。合わせ酢に漬け込んでしまいますと、折角ふっくらとしたクラゲが、細くやせて硬くなりがちです。- 鶏胸肉を酒で蒸すときは、必要なだけ(この場合100g)でなく、胸肉1枚分を蒸してください。ピンパンに使ったあとの残りは、いろいろな料理に使えますので。(たとえば、手で細く裂いて春雨・キュウリなどと酢の物に、あるいはこまかく刻んで炒飯の具に。)
- ピンパンは、美しく盛り付けることが大切です。ハム、キュウリ、トマトは、大きさや厚さをそろえて切り、盛り付ける順序、間隔もそろえてください。
ちょっと一言
- ピンパンは、食事の最初に出される冷たい料理(冷菜、涼菜)を、ひとつの大皿に美しく盛り合わせたものです。いろいろな材料を用意し、さまざまな調理法を用い、味付けも工夫することが大切です。大皿に幾何学模様(円形、四角形、星形など)や花・鳥を、絵を描くように盛り付けたものはほんとうに見事です。
家庭では、絵を描くためにたくさん材料をそろえるのがたいへんでしょう。なるべくちがった種類の材料(肉類、魚介類、卵、野菜など)を用意し、料理法(蒸す、焼く、煮るなど)を変え、味付けと工夫して、大皿に美しく盛り付ける努力をしてみてください。食卓が華やかになります。
≪組み合わせメニュー≫
◎ハマグリと豆腐のスープ
◎豚肉とグリンピースの炒め物
◎白玉だんごのシロップかけ
【野口料理学園】
塩ひとつまみ |
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■深遠なるもの
- 朝起きて、朝食をとるあいだに飲む一杯のお茶の味は格別だ。心身をスッキリさせてくれる。一日の行動開始をつげる喫茶は、目覚めから出陣にいたる厳粛な儀式である。同時に、その日の体調を計るバロメーターでもある。その証拠に、毎回味がちがう。微妙にちがう場合もあれば、とても苦くて飲めないときもある。美味い不味いで、健康(おもに疲労度)を簡単にチェックできる。
入れる側も事情はかわらない。手順やお茶の葉はおなじでも、そのときの気温や気分・加減によって、急須の先から出てくる液質(味)は異なることになる。- 友人の奥さんで、めっぽうお茶の入れ方がうまい人がいた。いつ行ってもおいしいお茶を飲ませてくれる。濃さといい、湯加減といい、常に最良のもので外れがない。生活ぶりからして、特別高級なお茶の葉を使っているわけではない。道具類も量販のものだ。どこそこの名水でもない。鉄瓶で沸かすこともしていない。"小細工"はなしとみた。
- こうなると、入れ方によるとしか考えられない。秘訣を聞くのだが、普通に入れてますと言うばかりで答えにならない。なにかコツがあるにちがいない。そこである日、実際に目の前で入れてくれるよう所望した。手品のタネをあばこうという、タチの悪い酔客の心境だ。煎茶の作法もあるということだが、当方は正統な点前も流儀もつゆほど関心がない。どうしたらうまいお茶が入れられるのか、その一事である。
- お茶がでてくるまではたかだかの時間。見慣れている所作に目新しいことがあればすぐに分かる。目を皿のように「手品師」の一挙手一投足を追った。急須から緑茶が器に流れ落ちる、さいごの行程に入った。
「・・・」。ムムッ、やけに長い。さっきからずっと同じ動作が続いている。いや、止まったままである。右手に持った急須は下を向いたきり、左手をそれにあてがったまま動かない。夫人の手も腕も、ひじも肩も首も静止状態だ。視線の先は急須の口か。眉ひとつ動かない。ハテ、どうしたものか。注視するこちらの目が疲れてくる。水中で息を止めているみたいに呼吸も苦しくなってきた。まだ持ってる。なにを待ってるのか? しびれが切れそうだ。まだか、まだか、早く終われ、終ってくれ!そう発したい衝動と戦っているうちに、自分の体が硬直していく…- 「どうぞ、召し上がれ」のことばにわれに帰った。ふしぎな体験だった。いったいどれほどの時が刻まれたのか。3分以上であるはずがない。ところが、宇宙旅行でもしてきたような感覚なのだ。よその空間をただよっていた心地。恐ろしく長い時間だった。
「さいごの一滴が落ちるまで待つのです。振ったりしてはいけません。その雫がエキスとなってお茶をおいしくします」、そう彼女は"理論づけた"。お茶のなかに、さいごのエキスが拡がることで覚醒と鎮静、興奮と抑制のまろやかで深みある複合した味がつくり出せるのだと。- 秘密はこれだったのか。自分でも試してみた。なるほど、ひと通り落ちてからさらに雫となって滴り落ちるまで、その長いことといったらない。途中で放り出したくなる。実際の経過時間は1分そこいらとおぼしいのに、その無言の流れには苦痛すら感じる。時間を意識したら耐えられない。ひたすら待つだけ。待つことの難しさ、尊さを身をもって知る。お茶一杯入れるのは、深遠な思索にふけるおもむきがある。一柱の座禅にひとしい心身の爽快さをおぼえた。
- 遠い昔、女子が職場でお茶汲みをしていた。彼女たちのムクレ顔は、ときにお茶より苦かった。考えてみると、お茶汲みは、期せずして自分を高める自己陶冶の手段だったのではあるまいか。今やお茶は、ティーバッグからさらに 「缶茶」「ペットボトル茶」へと"進化"した。自販で手軽に買って飲める。お茶汲みは、悪しき因習として葬りさられた。が、失った代価はあまりに大きいと言わなければならない。(小笠原)
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