今 週 の レ シ ピ |
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・ベーシッククラス(8月第1週)のメニューより●かき玉汁 39kcal. 塩分1.4g
[材料] -6人分-
・卵 2個 ・ミョウガ 1個 ・一番出汁(いちばんだし) 5カップ ◎A 塩 小さじ1.5 酒 大さじ1 醤油 小さじ1 ◎水溶き片栗粉 片栗粉 小さじ2 水 小さじ2
[作り方]
- 卵…割ほぐしておく。
ミョウガ…縦2つに切って、斜めの薄切りにする。- 直径22〜24a位の鍋に、一番出汁を温め、Aで味付けし、水溶き片栗粉を加える。
- 沸騰直前で火を弱くし、卵液を箸(はし)を伝わらせて細く流し入れ、火を少し強くして卵に火を通す。
- 火をとめて、ミョウガを散らして仕上げる。
ポイントはここ
- 卵は箸で卵黄・卵白をよく混ぜます。卵白が切れていないと、汁の中にドボンと入って、白く固まってしまいます。でも、よく混ぜるためにと泡立て器を使いますと、これもまた「過ぎたるは及ばざる…」で、卵の泡のため、細く長く続けて清汁(すましじる)の中に流し入れられません。
- 卵液は、一番出汁よりもどろっと重い=比重が大きい=のはお分かりだと思います。したがって、一番出汁に卵液を流し入れますと、鍋底に沈んで固まってしまいます。そこで、「清汁」を飲んだときに分からない程度に一番出汁にとろみをつけて、少しだけ比重を大きくし、卵の比重に近づけます。これで卵液は清汁の中で、ふんわりふんわりと浮いた状態になります。
- 卵の固まる温度は、卵黄67℃と卵白80℃です。したがって、80℃位の清汁に卵液を流し入れますと、どんどん固まります。温度が30℃・40℃位ですと、固まらずに汁が濁るもとになります。
- 卵液を流し入れた後、卵に火を通すために少し煮ますが、くれぐれも火を通しすぎて硬くしないように気をつけてください。
ちょっと一言
- 箸で、卵液を流し入れていきますと、卵が「湯葉」のように仕上がります。しかし慣れないと、細くできず、固まりができてしまいやすいです。そこで初心者にお薦めは穴杓子。ただし、一度に卵液を入れず、何回かに分けてください。一度にやると、卵液の粘り気で穴からスムーズに流れず、あふれてしまいます。
箸で流し入れる 穴杓子を使って
- かき玉汁ほど便利な清汁はありません。卵は一年中使えますので、季節をかならず「吸口」であらわしてください。
例:春…木の芽、ふきのとう。夏…ミョウガ、おろし生姜(しょうが)。秋〜冬…柚子(ゆず)。
≪組み合わせメニュー≫
・和食のメニューに、このかき玉汁は卵料理以外ならいつでも汁として使えます。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み |
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■せんろっぽん
- 車を運転しているときです。踏み切りにさしかかりました。「踏切あり」の標識がみえます。煙を吐いている蒸気機関車の絵です(電車のもありますが)。私たちの年代はSL全盛の時代で見慣れていますが、今は特別のときでもない限り目にすることはありません。それでもちゃんと、軌道を走る乗物として認識し、「警戒標識」としての効果はあるようです。そこで思いました。昔からの慣例とか、言い習わしで済ましている場合が、お稽古でもあるのではないかと。実は、あるのです。自戒をこめて白状するのですが、20年ほど前のことでした。
大根を切るときです。「せんろっぽんに切ってください」と言いましたら、「数えられない」の返事。1006本ととったようです。そこで、「数ではなく、2_角に切ることを"せんろっぽん"に切るといいます」と説明しました。それまでは、それで終わりました。ところが、「どうしてですか」と突っ込まれ、「昔からそう言うの」と言いかけてやめました。一種の逃げ、と思ったからです。正直に答えました、「こんどまで調べてきます」と。- 中国では、大根のせん切りを"繊蘿蔔"と書きます。蘿蔔は大根の意味です。発音が"ロウフ"あるいは"ロウポ"。繊はセンですから、"センロウフ""センロウポ"、日本人にはセンロッポンと聞こえてふしぎはありません。これに「千(繊)六本」をあてたようです。どちらかというと太目のせん切りですが、白髪三千畳、千客万来でもわかるように、千は多いをあらわし、たくさん切る、すなわち細かく切るにつながるのでしょう。
- たしかに、「千六本(1006本)は昔からそう言う」では無理があります。千はたくさんと推理できても、じゃあ端数の6は何の意味?となります。でもこれで納得がいくと思います。さらに今は、補足が必要です。20年前なら、2_角を説明するのに、マッチ棒を連想させればこと足りました。最近はできません。まわりにマッチ棒がないので、大きさがつかめないのです。実物をおいて見せるしかありません。それでもなお、その太さ(細さ)に切れないで苦労します。そこで、こうハッパをかけます。「みなさん、106本じゃありませんよ、1006本ですよ」。こちらのほうがわかりやすいといえば、わかりやすい…。
- 料理用語の中で、このようにワケを知らないで使っていることばはすくなくありません。「切り方」ひとつとっても、いくつか挙げられます。たとえば「拍子木切り」の拍子木(ひょうしぎ)。これでもって火の用心の見回りをするところは少なくなりました。大相撲で打ち鳴らすもの、といってわかるのは相撲ファンに限られます。「亀甲(きっこう)切り」は字面から理解できるようです。「笹がき」を、鉛筆を削るようにといっても、昔のように刃物で削ることはしません。みんな自動の削り器ですから、ごぼうなどを実際に削って見せます。「地紙切り」も説明を要します。地紙は扇に張る紙、ですから扇形に切ることをいいます。でも、「お祝い用」とまでは理解がいきません。「末広がりでおめでたいからよ」と注釈をつけなければなりません。 「桂むき」。この由来は諸説あります。私も正直、定説がどれか決めかねています。三つほど紹介しましょう。まず、お能の面を顔につけるときに使う桂帯からきているという説。つぎに、京の桂川のほとりにある村の娘が、京にでてくるとき頭に白布を巻いた姿に似ているとする説。さらにひとつは、桂の木の皮が縦に長くむけるからという説です。真偽の優劣はつけられません。おもしろいのは「乱切り」です。乱だからと、いい加減・勝手気ままに切ってよいのではありません。形はちがってかまわないけれど、火の通りが均等にいくように量・大きさがおなじくらいのコロコロした状態に材料を回しながら切っていくのです。
用語もやり方も、押し付けたくはありません。命名の由来やら謂(いわ)れがわかればたのしいし、おぼえやすい、したがって忘れがたいのではないでしょうか。
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