今 週 の レ シ ピ

◇韓国料理の「ナムル」は、野菜の和(あ)え物のこと。茹(ゆ)でた野菜を使うことが多く、したがって生野菜よりたくさん食べられます。日本人は、野菜の食べ方が少ないといわれています。たくさん野菜を食べる方法のひとつに、「ナムル」はいかがですか。

●ナムル その2

 ナス

ナス [材料]

・ナス2〜3本(200g)
◎E
  胡麻油(ごまあぶら)大さじ1
  ニンニク小さじ1/2
  醤油大さじ1
  砂糖大さじ1/2
  水大さじ3
  かつお風味調味料小さじ1/2

[作り方]

  1. ナスはへたをとり、縦(たて)半分に切り、5_厚さの半月切りにする。
  2. フライパンにEの胡麻油を熱し、ニンニクとナスを加えて炒め、残りのEも加えて、汁気がなくなるまで弱火でゆっくり煮る。


 椎茸(しいたけ)

しいたけ [材料]

・干し椎茸大2枚
◎F
  胡麻油(ごまあぶら)小さじ2
  ニンニク小さじ1/2
  醤油小さじ2
  砂糖小さじ1

[作り方]

  1. 干し椎茸は水でもどして、そぎ切りにする。
  2. Fにつけ込み、10分位したらフライパンで炒める。


◇先週の「ナムル」を合わせて「ビビンバ」にしてみませんか。

●ビビンバ 

ビビンバ [材料]  -6人分-

・ごはん6人前
<各種ナムル>
<肉そぼろ>
・合挽肉(あいびきにく)150g
◎A
  醤油大さじ1.5
  砂糖大さじ1
  みりん小さじ1/2
  酒小さじ1/2
  胡椒(こしょう)少々
  ニンニク小さじ1
  胡麻油(ごまあぶら)大さじ1
  胡麻小さじ1
<たれ>
・肉そぼろの汁大さじ2程度
◎B
  コチュジャン大さじ2
  葱(ねぎ)のみじん切り少々
  醤油小さじ1
  砂糖小さじ1
  胡麻小さじ1

[作り方]

  1. ごはん茶碗に、軽く一杯分のごはんを用意する。
  2. 合挽肉に調味料Aを加えてよく混ぜ、10分ほどおいてから炒(い)り、汁気を大さじ2くらい残す程度に仕上げる。
  3. 2の肉そぼろを器に盛り、汁気は鍋に残し、Bを加え、もう一度火を通し、器に盛る。

      ◎食べ方
      丼にごはんを盛り、その上に用意したナムルと肉そぼろ、たれをのせ、充分に混ぜて食べる。


ちょっと一言

【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■ズレ

「世代」のちがいを感じることが多くなりました。私はいわゆる「団塊の世代」ですが、自分がその世代に属することをそれほど意識したことはありません。世代を口にすることで自分が納得したり、相手を説得する材料に使ったりするのは一種の「逃げ」ないしは「口実」のように思われて、よしとしません。それは今でも変わりませんが、「世代」を少し広げた「中高年」の範囲枠を用いると、もういけません。若い人とのちがいが山ほど意識されて、嫌になるくらいです。でも、これは当たり前のことですよね。それだけ歳をとったというなによりの証拠ですもの。

先週と先々週のお稽古は正月料理でした。「一の重」から「与の重」まで教えていきますが、日本の伝統料理の名前にはそれぞれ根拠があり、由来をもっています。これまでは、それほどの説明を要さず理解してもらえました。近ごろ、そうもいかなくなってきています。自分に近い世代(上下)とはお互い共通の認識があって、くどくどした解説は無用でした。若い人にそれは通用しません。認識、感覚、知識をともに共有していると思うのは、いささか早計にすぎるようです。

たとえば「鼈甲(べっこう)寄せ」の「鼈甲」。これがわかってもらえません。アカウミガメの甲羅ですが、絶滅危惧種の指定をうけて、いまは捕獲禁止です。メガネフレームや櫛(くし)などに使われてお馴染みでした。ところが、"鼈甲アメなら知ってます"と、思わぬところから連想してきます。高級感にだいぶ差がある(?)ものの、鼈甲は鼈甲で連想は一致します。

いま出てきた櫛、意外なことにこれにもてこずります。櫛形に切りましょうと言っても、ピンとこないようです。若い人はほとんどがブラシです。気がつかないこちらが迂闊かもしれません。そのてん山梨県人は幸いです。甲府盆地に櫛の形をした櫛形山とその山里にひろがる櫛形町があって、すぐイメージすることができます。(余談ながら、周辺の6町村が合併して来春「南アルプス市」が誕生します)

亀に関連したものに「亀甲椎茸」があります。椎茸を「亀甲」に切るというものです。「きっこう」の音感からではわからない人がいます。漢字で書くと、"ナーンダ、亀の甲羅か"と合点がいくようです。
つぎは「筑前煮」。「筑前」は福岡県の旧国名です。これはいいとして、具のこんにゃくの「手綱(たづな)切り」の「手綱」が思い浮かびません。馬術をやる人はそうそういませんから、縄を持ち出しますが、余計にわからず、ロープで代用します。

代用といえば、おにぎりを握らせるときの「俵型」の「俵」があります。これも見かけなくなりました。いまや、お米も炭もみな袋に入っていますから無理もありません。助け舟として、「ワインのコルク栓」とか、「クリームコロッケ」を引っ張ってくるとわかるようです。まるで「連想ゲーム」です。(この番組もとうに終わっていますから、共有できない世代があります。「ゼスチャー」になるともっとです)

「地紙大根」の「地紙(ぢがみ)」は、特殊な部類に入るでしょう。地紙とは扇子(せんす)や傘に貼る紙のことです。末広がりで縁起のよい形とされます。扇子はわからない人もいないでしょうが、傘(唐傘、番傘)となるとあやしくなります。

このように、日本料理は名前から見ただけでも、その背景に文化や歴史を感じます。ざっとですが、おせち料理だけで共有できない「認識事項」がこれだけあるのです。といって若い人を責めるわけにはいきません。私たちの世代だって、上から見たら五十歩百歩です。自明のこと周知の事実が、世代によって、あるいは時代によってズレが生じるのはしかたのないことかもしれません。それを承知で、次代に伝えていかなければならないでしょう。伝承そのものが文化であり歴史なのでしょうから。料理ひとつとってもそのことが言えそうです。



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