今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(3月第4週)のメニューより

●肉丁炒碗豆(豚肉とグリンピースの炒め物)    197kcal.  塩分1.1g

肉丁炒碗豆(豚肉とグリンピースの炒め物) [材料]  -6人分-

・豚もも肉(薄切り)150g
◎A
  日本酒小さじ2
  醤油小さじ2
  卵白1個分
 片栗粉小さじ1
・冷凍グリンピース120g
◎B
  卵2個
  卵黄1個分
  塩少々
・油大さじ3
・塩小さじ2/3

[作り方]

  1. 豚肉は1.5〜2a角に切り、ボールに入れ、Aで下味付けをし、15分位おく。
  2. 冷凍グリンピースは、熱湯に凍ったまま加えて解凍する。
  3. ボールにBを合わせ、よく混ぜる。
  4. 中華鍋に油大さじ2を熱し、3の卵を加えて半熟に炒(い)り、ボールに取り出す。
  5. 4の鍋に油大さじ1を足し、片栗粉をまぶした1の豚肉を炒める。グリンピースを加え、塩味をつけ、4の炒り玉子をもどして仕上げる。
ポイントはここ
ちょっと一言
  • 同じ調理法で材料をかえると、見た目も味わいも新鮮味があります。
    豚肉をエビや鶏肉に、グリンピースを枝豆、ピーマンにかえて、新しい味を探してください。
≪組み合わせメニュー≫
    ◎ベーコンとレタスのスープ
    ◎白菜のピーナツ和(あ)え
    ◎アサリのかき揚げ 辛味ソースかけ
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■アマゾンに凍る 

乗物/食事といえば、忘れようにも忘れられない体験がある。20数年前である。南米アマゾンの河口都市ベレンに、古くから兄事するYさんを訪ねた。滞在5年のYさんは、同市にあるブラジル国立アマゾン熱帯研究所に出入りする、先住民インディオの研究者である。数日して、荷物担ぎとしてインディオ部落のフィールドワーク(調査活動)に付き従った。トランスアマゾニカ(アマゾン横断道路)を800キロ近く入ったところである。

ベレンから有名なアマゾン中流の都市マナウスまでは、直線にして1600キロ。これを道路地図でみると、ベレン〜マナウス間はなんと5298キロ。大きく迂回しているせいもあって、3倍以上の道のりに跳ね上がる。"ただならぬ道"であることが想像された。定期バスは通っていても、時間通りに発着するなどは思わないほうがいい。無事に着いてさえくれたらいいのだと、Yさんのアドバイス。今は乾季だから、ま、大丈夫だろうけど、ともつけ加えた。

ポーター役というのはこうだ。先住民と物々交換するための荷物を運び、交換したものをまた持ち帰る役目である。持参するものは、彼らが好みそうな生活物資。砂糖、菓子類の甘いものから干し肉、巻きタバコ、刃物類、衣服、おもちゃ・装身具などプラスチック製品等々。こちらが求めるのは、彼らが使う生活用具や武具。といっても、一度文明の波に洗われると、インディオたちはそうしたものには見向きもしなくなる。だから交換の場では、籠や楽器、弓矢、羽飾りの付いた装身具など、必要としなくなって放置されたも同然のものを欲しがるこちらを心底不思議がる。

バスは数十キロ南下したあと、西進するアマゾン横断道路に入った。もちろん赤土の未舗装である。しばらくはアスファルト道ともお別れだ。車両は市内バスと大差がない。ステップがいくぶん高く、腹に荷物入れのスペースがあるのがわかる程度。これで悪路長距離に耐えるのだろうか、不安がよぎる。運転席の横に、蟻塚のように盛り上がっているのがエンジン。話もできないほどガリガリ唸る。乗客は立っている人も入れてほぼ満杯状態、これがあとで重要不可欠な戦力となることを知る。何十年か振りに不整地を走る懐かしさを感じたのは束の間、しだいに苦行となっていった。

1970年代に入って、ブラジルは本格的なアマゾン開発にのりだした。その楔(くさび)が、ジャングルの真っ只中を通る道路の建設である。通すことが精一杯で、長大すぎて管理保全までは手が回らない。粘土質に降る大量の雨が路肩を削り、樹木がないというだけのおよそ道路の態をなしていないありさまだ。

乾季(6月〜11月)といっても、2、3日に1度くらいは雨が降る。ぬかるんだ泥状の地面は、雪道より厄介だ。滑るといったらない。はまったらべったりくっ付いてはなれない。しかも重さがある。泥用タイヤかチェーンがあるなら欲しいところだ。おまけに波を打った地形は、坂を登っているか下っているかのどっちかというほど大きく深く縦にうねっている。

道の真ん中に1台分の轍(わだち)がえぐられているだけ。そこをバスは突っ走る。下りで勢いをつけないと、登りの途中で止まることになる。一旦止まったらさいご、泥につかまってニッチモサッチモいかなくなる。ジェットコースターだ。恐怖感もそれに劣らない。いやそれ以上だ。遊戯ではなく、実戦なのだから。溝を外れたら、スリップして路肩を転げ落ちる。それがわかっているから、たまさか会う対向車はピークの頂上付近で相手が上がってくるのをじっと待ち受ける。

乗客は座ってなんかいられない。危険でさえある。つかまっていないと空中浮遊して天井に頭を打ち付ける。嘘ではない。どこに飛ばされるかわからない。いちばん安全かつ楽なのは、座席から腰を浮かせ、中腰で前席の背もたれのリングをしっかりと握ることだ。

泥にはまっての立ち往生はしばしばだ。さあ、どうするか。全員バスを降ろされる。だけではない。スリップする車体を押しにかかる。靴も服も、手、腕、顔、髪の毛が赤土まみれ(正確にはオレンジ色に近い)。それでもだめなら、フル稼働体制をとる。車体前部からワイヤーを伸ばし、ジャングルで折ってきた太い枝を横に渡す。左右対称に人が張り付いて、ひっぱり上げるのだ。人数に応じて3列、4列にもなる。人力と機械力が総がかり。目的地に行きたいなら、自分たちでバスを動かせというわけだ。運命共同体である。なるほど、真の意味で(物理的にも営業的にも)、乗客がいなければバスは運行しない。雪山で言えば、客はラッセル要員なのである。乾季でこうなのだから、雨季(12月〜5月)はイッタイゼンタイ…。

たえず腹筋運動を強いられているような道中である。熱さもハンパではない。体力の消耗が著しい。猛烈に腹がすいてくる。 (つづく) (小笠原)


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