今 週 の レ シ ピ |
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・アドバンスクラス(11月第2週)のメニューより●サバのみぞれ酢かけ 317kcal. 塩分1.5g
[材料] -6人分-
・サバ 1尾(700〜800g) 塩 小さじ1 小麦粉 適宜 ・サラダ油 大さじ1 ◎みぞれ酢 大根 200g 酢 大さじ2 砂糖 大さじ1 塩 小さじ1/2 ・唐辛子 1本 ・日本葱(ねぎ) 青い部分少々
[作り方]
- サバは三枚おろしにし、切り身にして、塩で下味をつける。
- 小麦粉をふりかけ、サラダ油を熱したフライパンで両面を焼く。
- 大根をおろし、スダレで水気をとり、調味料を合わせたボールに入れて混ぜ、みぞれ酢を作る。
- 焼いたサバにみぞれ酢をかけ、唐辛子の小口切りと、葱(ねぎ)の青い部分のせん切りを飾る。
ポイントはここ
- サバは1本700〜800gくらいを用意し、三枚おろしにします。「鯵の塩蒸し・みどり酢添え」を参照してください。
小ぶりのサバ(500〜600g)の場合は、片身で2切れとり、4人分にしてください。- 1切れ70〜80gくらいの切り身にし、火の通りをよくするために皮の方に切れ目を入れます。バットかお盆を用意し、塩をふり、サバ6切れをならべ、その上にまた塩をふり、15〜20分おきます。
- サバに下味をつけている間に、唐辛子の小口切りと日本葱(にほんねぎ)の青い部分をせん切りにします。
- つぎに大根をおろし、スダレにのせて余分な水分をとり除きます。酢、砂糖、塩をボールに合わせ、その中に大根おろしを加え、よく混ぜて、みぞれ酢にします。
- サバに小麦粉をうっすらまぶします。フライパンにサラダ油を熱し、サバの皮の方を先に焼きます。香ばしそうな焼き色がついたら、返して、しっかり火を通します。
小麦粉をまぶす 皮から焼く 香ばしく焼く
- 皿にサバを盛り、みぞれ酢をたっぷりかけた唐辛子と葱(ねぎ)を飾ります。
- 食べるときは、サバの上にのせたものを全部混ぜ、サバにからめるようにしてください。
ちょっと一言 ≪組み合わせメニュー≫
- 最近はいろいろな形でサバを売っています。一匹丸ごと、三枚おろしにしたもの、切り身になっているもの、生で、冷凍で…骨なしもあります。皆さんの好みと都合に合わせて選んでください。
- サバの塩焼きはおいしいですが、なかなか直火(じかび)焼きは脂が落ちてガス台が汚れ、そのうえ煙が出たりで、さまざまな問題が起きそうです。そんな時、小麦粉をまぶしてサラ油を熱したフライパンで焼くと、煙を出すことなく香ばしく仕上がります。ぜひ、一度ためしてみてください。
◎カキとワカメの清汁(すましじる)
◎里芋の煮物
◎ほうれん草の胡麻(ごま)和(あ)え
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み |
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■山と桃とコロ柿だ11月も半ばに入りました。立冬(11月8日)も過ぎました。柿の収穫期で、家の軒下に赤い柿の吊り下がる風景がぼちぼち見られる季節です。甲府でもとっくに霜が降りているはずですが、今年は冷夏の影響と関連しているのでしょうか、11月というのに連日20度を越しています。最低気温も10度を割っておらず、とても初冬とは思えない陽気です。生徒さんの中には、「コロ柿がカビたさ」という近所の人の声を聞いたそうです。里のほうでは一度霜が降りたみたいで、干したところもあったのでしょう。
山梨県でも塩山市、山梨市などの一帯は、この「コロ柿」(ころがき=干し柿)の生産がさかんです。甲府盆地でとれる柿は「甲州百目柿(ひゃくめがき)」といって、重さが300g〜500gもあり、優に普通の倍はある渋柿です。これを1ヶ月ほど天日に干すと、えもいわれぬ甘柿に仕上がります。
生産量年間908トン。山梨県は全国の干し柿の13%をしめ、第3位を誇っています。例年だと10月下旬から11月上旬、霜が降りたのを確認してから収穫に入ります。霜に当たらないと、ヘタの部分の締まりが悪く、吊るしても取れやすいのです。だからといって採らないでいると、熟柿(じゅくし)になってしまいます(これはこれで、生チョコのように甘くておいしい)。その見きわめがむずかしいところです。
わが家でも数年前までは、「コロ柿作り」が年中行事のひとつでした。材料の収穫から皮むき、天日干しの一連の作業を全部自分たちの手で行なうのです。柿は、甲府から30キロほど行った鰍沢町(かじかざわちょう)にある私の大叔母の家で採らせてもらっていました。10m近くある大きな柿の木です。これにびっしりと巨大な百目柿がなります。
ご存知のように、柿の木はとても折れやすいものです。できれば登らないで済ませたいのですが、先端を割った竹竿をのばして採れるのは、下方のほんの一部です。どうしても幹を登って、さらにそこから竿をのばさないことには収穫できません。
木登りなら、山男の主人はお手のものです。嬉々として、毎年この行事を楽しみにしていました。ザイルのほかに、ハーネスとかカラビナとかいう本格的な登山用具を持参します。大げさに思うかもしれませんが、実際、柿の木は危険です。大型の柿なので7、8個も採ると、体につけた袋が一杯になり、重さが増して動きが鈍くなる、と同時にそれだけ枝が折れる心配も高まります。動作が緩慢というか慎重になって、ナマケモノのようなしぐさに似てユーモラスな光景です。
採り方にはコツがあります。あとで天日に干すため、ヘタの先に紐をくくる部分の小枝が「Tの字」に残っていなけれなりません。これがないと、吊るすことができません。本体に傷がついてもいけません。平均的に乾いてくれませんし、そこだけ粉(こ)が吹かず味が落ちます。
手の届く範囲がおわると、末端の細い枝にとりかかります。樹上でも竿の力を借りなければなりません。手をのばし、さらにその先の竹竿をのばします。先端で柿の胴体を挟み込んでおいて、クルッと回転させて小枝ごとモグわけですが、これがなかなかうまくいきません。なにしろ大きくて目方のある百目のこと、あえなく落下してしまうのが大半です。そこで、下で待って受け取る私の登場となるのです。このほうが、上でソロリソロリまどろっこしく竿をたぐるより、はるかにスピーディーで作業効率が上がります。
木の上と下、絶妙な阿吽(あうん)の呼吸、といきたいところですが、とんでもない。年に一度の夫婦喧嘩の場と化します。上の人間はいいのです、柿をはさんでひねって落とすだけ。下にいる身にもなってください。500gの物体が、5m以上の高さから加速度をつけて落下するのをつかむのですよ。それも1個や2個ではありません。何十個とです。身の危険を感じないほうがおかしい。男の人は子供のころからキャッチボールには慣れています。女性もおんなじだと思うのでしょう。
「ちゃんと受けろ!」「なんで、取れないんだ!」「落とすんじゃない!」「そんなものも取れないのか!」「バカ、よく見ろっ!」
もう、言いたい放題。そりゃ、上にいるのも楽ではないでしょうが、下にいるほうだって、石みたいに重くて大きなものが降ってくるんです。おまけに百目柿は、先が尖っているから余計取りずらいし、危ない。かといって、役を交代するわけにいきません。主人は上手にキャッチできるのに、私に登山のまねなど不可能です。「そんに言うなら、代わってよ」 その台詞が告げられないのをいいことに、この時とばかりバセイの雨を降らせます。そのうち、こちらは首が痛くなってきます。真下から直角に見上げているのです。キャッチ率だって落ちてきます。手をあきらめ、帽子とか笊(ざる)、篭を用いますが、どうにもなりません。こうして四分の一くらいは、傷がついてそのまま放置です。それでも、200個以上は持ち帰っていました。
帰ると、その日のうちに皮むきです。これも手間です。皮だけでなく、紐が結べるようにヘタと「Tの字」の枝の部分も切りそろえます。終わるころには、手がシブで真っ黒になっています。 干すのは翌日。風が通る、日当たりのいい、それに雨があたらない場所が最適です。干し柿の条件は、寒風と日光、つまりカラカラの陽光と空っ風です。寒冷地であっても雪のつもらない、まためっぽう冷たくて強い南アルプスや八ヶ岳からの風が吹きわたる甲府盆地はお誂え向きなのです。わが家では、屋上の物干し場がこの条件を満たしていました。
一ヶ月後、真っ白に粉(こ)の吹いたコロ柿のできあがりです。市販の全体を乾燥させたものより、中がまだ半熟のが主人は好みのようです。どんな和菓子も洋菓子もこれには適わない、のだそうです。それはそうでしょう、買えば1個300円、大きくて立派なものなら700円以上はする代物です。それを甘い物が苦手な娘と私をよそ目に、ニタニタ一人で食べるのですから。うっとりした面持ちでこうも言います。「山梨に住める歓びは、山と桃とコロ柿だ」
おごれる者は久しからず、大叔母が高齢で独り住まいができなくなりました。東京のこどもの下へ移って5年ほどになります。それを機に、わが家の屋上も改造して柿が干せなくなりました。主人は、最高の楽しみのひとつを失いました。おかげで私は苦役のひとつから解放されました。喧嘩も終わりです。
この時期、ヨソ様からころ柿をいただきます。主人はかならずかつての自家製と比べています。アレより旨い、などとは言ったためしがありません。それも当然です。お山の大将気分で収穫し、わが家の屋上の陽光と空っ風とを思いっきり吸った「コロ柿」に勝るものなどないでしょう。
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