今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(2月第4週)のメニューより

●蛤(はまぐり)の清汁(すましじる)    37kcal. 塩分1.7g

蛤(はまぐり)の清汁(すましじる) [材料]  -6人分-

・蛤(はまぐり)12個
・三つ葉6本
・一番出汁(いちばんだし)
  水5カップ
  昆布(こんぶ)10cc
  鰹節(かつおぶし)20g
◎A
  塩小さじ1
  醤油(しょうゆ)小さじ2
  酒大さじ1

[作り方]

  1. 蛤(はまぐり)は、海水程度の塩水に入れ、砂をはかせてから、丁寧に洗う。
  2. 水に蛤を入れ、火にかけ、口をひらかせる。汁をふきんでこしておく。
  3. 一番出汁(いちばんだし)に、2の汁をくわえ、Aで味付けする。
  4. お椀(わん)に蛤を入れ、3の汁をくわえ、三つ葉を散らして仕上げる。
ポイントはここ
  • 海水程度の塩水は、水1カップに塩小さじ1を溶かしてください。その中に蛤を入れ、重ならないようにし、暗く静かなところにおきます。塩は、天然のものを使ってください。
  • 蛤の口をひらかせるために、直径20cm位の鍋に、水1〜2カップ用意し、貝を入れ、火にかけます(1)。口があいたものから取り出します(2)(3)。火が通り過ぎると、硬くなりますので気をつけてください。汁は、ふきんでこします(4)。

    (1) (2) (3) (4)

  • 一番出汁をとり、分量をはかり、5カップに足りない分を蛤の汁でおぎなってください。そのあと調味します。
  • 蛤の汁は塩分がありますので、塩の量に気をつけてください。
  • 蛤の身は、貝殻から貝柱のところではずします。貝殻に身をもどし、お椀に入れてください。貝が大きいときは、貝殻に二つ分の身を入れてみてください。
ちょっと一言
  • 蛤だけでなく、二枚貝は皆そうですが、蝶番(ちょうつがい)でピッタリ二枚の貝殻があうのは世界で一つだけです。「一対(いっつい)」を大事にするおひな祭りの汁物には、この蛤の清汁が欠かせません。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■あるがまま

14日はバレンタインデーでした。我が家の高1になる娘は、「友チョコ」用のチョコボールやマドレーヌを35人分も深夜までかかって作りました。この数に驚いていたら、一緒に作った同学年の近所の子は、これに倍する70個以上も用意してさらに私をびっくりさせました。

とうぜん相手からも、同じ数に近いだけもらいます。翌日、下校してきた娘がその中のひとつをとって叫びました。
「イヤーッ、これは食べられない!」
テディーベアーをかたどったものです。可哀想で齧(かじ)られないというのです。クマさんを生き物にみたて、食べるのは残酷だと思うようです。

わからなくはありません。有名なひよこのお菓子なんか、口にするのがためらわれると言う生徒さんが何人もいます。動物だけでなく、たとえばガトーショコラ。ケーキの右肩にチョコレートをしぼってバラの花を描いてのせますが、カットするとき形を壊さないようにするのはもちろん、さいごのさいごまで取っておいてそれからおもむろに食べるようです。動物や花といった生き物を、壊す(殺す)というイメージを抱くのかもしれません。

これでは、花鳥風月を素材に作る和菓子(練り菓子)なんて、まともに食べられないでしょうに。ふつうなら、食い気が先にたつところです。気持ちが優しいんでしょうね…。

生き物とはかぎりません。無機質なものでも、形が傷ついたりくずれたりするのがたまらないようです。娘もそのようなところがあります。1ユーロをかたどった丸い大きなチョコレート。EUがひとつになり、統一通貨が発行されたのを記念に売り出されたものをお土産にもらいました。割るのが勿体ないようで、いまだにそのままです。たしか2年は経っています。

また人によっては、ハート型のケーキやチョコにナイフを入れるのを、心臓にヒビを入れたり破ったりするとは何事ぞ、と「縁起の良し悪し」を持ち出すかもわかりません。

このように、食べ物(とくにお菓子)と形について考えてみると、オモシロイことが見えてきます。「鳩サブレ」「人形焼き」、鳥や動物をかたどった飴など、いろいろあります。歴史上の人物、郷土の偉人をモデルにしたせんべいやクッキーを、どこかの土産品で見たような気もします。これなど、畏れ多くてとても口になどできそうにないと思うのですが。

「鯛焼き」でさえ、どこから食べるのか話題になるようです。頭からか尻尾からか、私など考えたこともありません。あるとすれば、どっちにアンコがいっぱい詰まっているかぐらいです。気にする人というのは、頭と尻尾と、どれを先に口にするかで残酷度を測ろう(?)というのでしょうか。

きれいな花の形をしたスイーツを食べたり壊したりするのは忍びないとして、それが花そのものだったらどうなるのでしょう。エディブルフラワーは、本物をサラダに使ったり付け合わせにします。リアルどころではないでしょう。

そうなると、おなじ植物でも野菜はどうします? ニンジンやダイコンを食べるのにためらう人って、いるんでしょうか。花に美しさを感じるように、野菜にもそれを感じて口にするのを躊躇する人が。いるとしたら、その美しさの線引きはどの辺にあるのかしら?

気にしだしたらきりがありません。どうしたらいいのでしょう。
なすがまま、感ずるがままにしたらいかがですか。食べたいと思ったら食べ、愛おしくて食べるのに気が引けると思ったらそのままに。対象がおなじでも、そのときそのときに湧く自然な気持ちに任せたらどうでしょう。「無責任」「一貫性がない」とお叱りを受けそうですが、人間あるがままがいちばんです…。


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