今 週 の レ シ ピ

当学園は、今週(2月13日〜2月18日)はバレンタインケーキ特別講習と「お菓子とパン祭り」出店のため休講です。

 [特集] 郷土の新しい味作りを考える

山梨は海に面してはいませんが、たくさんのおいしい食材に恵まれています。その食材を新しい感覚で、「新・郷土料理」に変身させていきたいと思います。

≪川魚≫を洋風に

川魚といえば、塩焼き、天ぷら、甘露煮などが一般的ですが、空揚げにしてくずれない工夫をしてからクリーム煮にしてみました。盛り付けの工夫で、魚料理としてだけでなく、オードブルにもなるでしょう。これも名物の「ワイン」といっしょにお楽しみください。

●川魚のクリーム煮

川魚のクリーム煮 [材料]  - 4人分 -

・ニジマスまたはヤマメ1尾
  牛乳
  塩
  胡椒(こしょう)
  小麦粉
  揚げ油
・タマネギのみじん切り50g分
・シメジ1/2パック
◎ホワイトソース
  バター大さじ2
  小麦粉大さじ2
  牛乳1カップ
  生クリーム大さじ2
  ローリエ1枚
  塩/胡椒適宜(てきぎ)
◎ケース
  折りパイ生地適宜
  塗り用卵1個

[作り方]

  1. ニジマス(またはヤマメ)は厚さ2cmの筒切りにし、内蔵を取り除き、牛乳につけて臭みを抜き、塩・胡椒で下味をつけ、小麦粉をまぶして揚げる。

    牛乳にひたして臭みをとる 小麦粉をまぶして揚げる

  2. タマネギはみじん切り、シメジは小房に分ける。
  3. 厚手の鍋にバターを溶かし、2を炒め(1)、小麦粉をふり入れてさらに炒め(2)、牛乳を加え(3)、塩・胡椒で調味する。(「クリームソースの作り方の工夫」を参照)

    (1) (2) (3)

  4. 折りパイ生地で、魚の形のケースを作る。 空揚げした魚を加える
  5. 3に1を加え、熱くして4に詰め、パセリを添えて飾る。
ポイントはここ
  • 川魚に特有の臭みが気になる場合は、下ごしらえのときに日本酒、白ワイン、牛乳などを使うのもよいでしょう。
  • 表面が非常にヌルヌルして滑りやすいものが多いので、初めは筒切りにし、慣れたら三枚おろしに挑戦してみてください。
  • 身がやわらかく崩れやすいので、筒切り、三枚におろし煮込みなどにする場合は、空揚げにして使うと形よく仕上がります。
  • クリーム煮を詰めるケースは、折りパイ生地のほかに、練りパイ生地、シュー生地などを使ってみてください。
ちょっと一言
  • 淡水魚は種類も多く、調理法も塩焼き、甘露煮、燻製(くんせい)、ワイン蒸し、フライ、香り漬け、あんかけなど、和・洋・中国風と思いのままです。
  • ニジマスは北巨摩や富士吉田、ヤマメは南巨摩、イワナは丹波山や小菅、アユは桂川流域など、川魚はほぼ山梨県下全域で養殖されています。
  • 今回の川魚は「アユ」です。
塩 ひ と つ ま み

■寿命が尽きるまで

外での講習にと、倉庫の奥から「スチームオーブン」を引っ張り出してきました。ピタ(「ポケットパン」参照)を焼くために、電気しか使えない場所というので、これにしました。よくぞ憶いだしたものです。まるまる10年は使っていません。しかも相当に古い。背中に「51.12.07」の刻印があります。製造年月日でしょう。昭和51年製(1976年)、いまから30年前ということです。

スチームオーブン 動くかしら? タイマーをセットすると同時にスイッチが入り、小さなランプがつくはずです。でも、つきません。スイッチがべつにあったかなと探したけど、見当たりません。ということは、壊れてしまったか。

見た目は十分きれいです。修理してでも使おうと思いました。どこで買ったのか憶えていません。知り合いの電気の専門家に、見てもらうことにしました。

やはり、タイマーとスイッチの兼用部分が不具合のようです。ただしメーカーに頼んでも、交換部品はないでしょうとのこと。部品のストックというのは、せいぜい10年だそうで、取り寄せはまず無理との診断です。「ご臨終です」と宣告されたもおなじです。

ところが、専門家が帰っていったあとです。主人が、「引っぱたいたら動いたりしてね」と、バンッ!と箱の横面を叩いてタイマーをひねり、そのまま15分ほど放っておいたのです。するとどうでしょう、なにやら赤いランプが点滅しているではありませんか。

「エエ、ウッソー」
思わず叫んでしまいました。冗談の一発で、息を吹き返したのです。そこで、あらためてメニューをグラタンに設定してタイマーをまわすと、こんどは赤ランプがちゃんと点灯。みるみる、温度が上がっていくではないですか。完全復活です。

こんなこともあるんですね。うれしくなって、もうひとつ試すことにしました。おなじ倉庫にある、棚の奥深く眠っている「ゆで卵器」です。長い間、気になっていました。たて16cm×よこ17cm×高さ19cmの小さな段ボールのケースに納められています。そのケースに検査合格の印紙が貼ってあり、「64 検 TK」の文字が読み取れます。1964年、昭和39年に検査済みということでしょう。じつに42年前、家電としてはかなりの「年代物」といえます。

スチームオーブン 中からでてきたのは、「おもちゃ」かと思いました。軽くて可愛らしい。初めて見る器具です。でも、どこか見覚えがあります。おなじメーカーが日本で最初に売り出したあの「電気釜」そっくり、まるでそれのミニチュアです。

それ自体がゆで上がり状態となって報せる今式とちがい、卵を中に入れて直接ゆでます。まん丸い容器の下の部分に水を張って、卵5個が立つように型が繰り抜いてある円形の中ブタをしきます。そこに卵はめこみ、上から、頂点につまみがついた帽子のようなフタをすっぽり被せます(蒸気抜きの小さな穴も開いています)。

張る水の量は決まっています。水量カップがあり、卵の個数とゆで加減によって「かたい」「中」「やわらかい」の三段階にわかれ、分量がわかるようになっています。

汚れやシミの具合から、かなり使い込んだ様子がうかがわれます。コードも途中に青い絶縁テープが巻かれているほか、先端の差込み部分の一部が欠けて、端子がむき出しになっています。使えないかも…。不安がよぎりました。

スチームオーブン 卵3個に、ゆで加減「中」の分量の水を入れてスイッチオン。ウンともスンともいいません。「スチームオーブン」の例もあるので、15分ほどおきました。さらに10分待ちました。それでもダメ、反応なしです。ホントにこわれているのかもしれません。

チョット閃(ひらめ)きました。電源を下から引っ張って調理台にのせているゆで卵器を、床に下ろして、コンセントとおなじ高さにしました。差込み付近になるべく角度がつかないようにしたのです。

アタリです。うまくいきました。接触不良だったようです。温度がぐんぐん上昇していくのがわかります。蒸気が噴きだしています。帽子のフタ部分が、ヤカンのように触(さわ)れないほど熱くなってきました。

ところで、何分ゆでればいいの? タイマーをセットするのを忘れていました。 時間はどうやって計るの? タイマー機能はどこ? たいへん、時間がない。あわてて自分でタイマーをもってきて、とりあえず10分セットしました。

ところがです。うまくできているのです。卵器のスイッチのレバーが、徐々に徐々に下がっていくじゃありませんか。水の量と連動しているのです。時間の経過とともに蒸気となって水量が減っていくにつれて、レバーが「入」から「切」に移動しているのです。タイマーは不要です。おそれいりました。

黄身が半熟の、とてもおいしそうなゆで卵ができあがりました。りっぱに現役で通用することが証明されたのです。これからもときどき使っていくことにしました。

「スチームオーブン」もそうですが、キカイとはいえ、古いからといって簡単に御役御免にしてしまうのはもったいない。安全であるかぎりは、寿命が尽きるまで目一杯働いてもらうのが、「便利」という恩恵を与えてくれるモノや道具にたいする私たち人間の基本姿勢であるように思いました。(つづく)

【野口料理学園】

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