今週のレシピ |
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・ベーシッククラス(3月第1週)のメニューより● はんぺんの清汁(すましじる) 13kcal. 塩分1.1g
[材料] -6人分-
・はんぺん 1枚 ・かいわれ大根 1/2パック ・一番出汁(だし) 5カップ 「鶏ささみの清汁」(9月第1週)参照 ◎A 水 5.5カップ 昆布 長さ10a かつお節 20g ◎B 塩 小さじ1 酒 大さじ1 醤油 小さじ1
[作り方]
- はんぺん…1枚8等分し、切り違いにする。
かいわれ大根…根を切り、洗って、お椀に盛る。- Aで一番出汁をとり、Bで調味する。
- 2にはんぺんを加えて温め、大きくふくらんだところを、かいわれ大根の入ったお椀に汁といっしょに盛る。
ポイントはここ
- はんぺんはいろいろなサイズがあります。11a角は8等分にして、切り違いにしてください。お椀には、ちょうどよい大きさだと思います。
- はんぺんは、つぎのように切ります。
たて長において、上下1a位をのこして、斜めに、包丁で厚みの半分まで切ります。はんぺんの切れ目の入ってない側を出して、同じ包丁の向きで、厚みの半分まで切ります。
つぎに、はんぺんの側面の切れ目を包丁の先でつなぎ、もう一方の側面も同じように切ります。これで、はんぺんが切り違いになります。斜めに包丁 切れ目をつなぐ 切り違い
- 日本料理は、季節感を大切にします。お椀のふたを取ったとき、ほのかに香る「吸口」(すいくち)には、旬のものを選ぶことを忘れずに。今回は、ピリッとした辛味のあるかいわれ大根を、青味もかねて使いました。
ちょっと一言
- 「切り違い」にしたものは、「一対」のイメージです。ひな祭りの「内裏(だいり)びな」は「男女一対」、 片方だけでは意味をなしません。したがってひな祭りの清汁に、「切り違い」はんぺんを椀種(わんだね)にしてみました。
ハマグリの二枚の貝殻は、ピッタリ合うのは世界にひとつだけ。ハマグリの清汁が、ひな祭りの献立に使われるわけはここにあります。- 「切り違い」は、他にかまぼこ、竹輪、きゅうり、バナナなどに応用してみてください。
- 最近、「和風だしの素」として、かつお節や昆布の「味」と「香り」をもった「風味調味料」が、いろいろな形(粉末や液状など)で売られています。それぞれの使い方を参考にして、自分が作ろうとしている料理に合った「出汁」(だし)になるか、一度使ってみてもいいでしょう。現代は、かつお節を削るところから始めて一番出汁、二番出汁をとってから調理にとりかかるには、ちょっと忙しすぎるでしょうか。ただ、いつでも手軽な方法にだけ頼らないようにしたいものです。
≪組み合わせメニュー≫
◎日本料理の献立を立てるときは、かならず汁物を一つか二つ入れます。はんぺん・かいわれ大根の清汁は、あまりクセがありませんので、焼き魚・野菜の煮物・てんぷらなどの主菜、酢の物・おひたし・和(あ)え物などの副菜、いずれと組み合わせてもおいしくいただけます。
【野口料理学園】
塩ひとつまみ |
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■ハレ
- まもなく、ひな祭りがやってきます。甲府はひと月遅れの4月3日に祝います。わが家では3月3日になったら雛人形をならべて、ひと月の間、飾っておきます。母は三姉妹でしたから、家には三組の雛人形がありましたが、空襲で全部焼けてしまいました。そこに第一子長女で生まれた私は、子供の時分、欲しくてもお人形は売っていない時代を過ごしました。お人形さんはなかったけれど、とてもたのしい思い出が記憶にのこっています。
- 近所に、同じくらいの年齢の女の子が5〜6人いました。桃の節句になると、それぞれお母さんにお寿司(太巻き寿司、散らし寿司)、お煮しめ、羊羹(ようかん:これも手作りです)、和(あ)え物などを作ってもらい、二、三段重ねの重箱につめます。ひょうたん型のビンに、これもお手製の甘酒(米こうじから作ります)を入れると、風呂敷につつんだ重箱をかかえ、私の場合、なぜか弟をしたがえて(彼の分もちゃんと作ってありました)、お友達の家をまわるのです。
- たずねる家は、それぞれその家の特徴があります。お母さんの腕の見せ所というわけです。持参した重箱に入っていない料理をだしてくれたり、吸い物を作ってくれたりします。縁側に重箱をひろげて、持ち寄った料理を食べあうのです。ひとしきり、食べたりおしゃべりしたりゲームをたのしんだら、つぎの家へ…。近所に桃木がありました。その木の下でゴザをしいてまた食べる。3月はまだ寒さがのこってできませんが、4月になると戸外はポカポカ陽気、10時くらいから3時くらいまでたのしくすごします。
- 面白いのは、皆といっしょに各戸をまわるとともに、自分の家へもお客のひとりとして訪問することです。わが家に帰るとか、わが家に招待するとかではなく、よその家庭のように自分もお客様然としてふるまうのです。このヨソイキの感覚がとても新鮮でした。やっていることはまま事のようですが、料理や器など「お膳立て」は本物でした。こうした中で独特の味覚と料理法と行儀作法が伝承されてきました。
- この習慣は、小学校の低学年あたりまで続いていたと思います。今はすっかり廃(すた)れました。いつ頃からどのようにして始まったかわかりませんし、いつのまにか、自然消滅のように消えてしまいました。こんな風になくなってしまった風習は、日本各地にたくさんあるのではないでしょうか。子供の数が減ったのと、縁側のある家が少なくなりました。また、そういう形の近所づきあいを欲しなくなった。子供たちの興味をひくものは、ほかにいっぱいあります。お母さんたちも、苦労して作るより手軽に買ってくるほうが多くなりました。桃の節句といえば、子供はお寿司よりショートケーキをまっさきに思い浮かべるこの頃です。
- この節句に限りません。端午の節句、お正月、クリスマスなどの行事から誕生、入学、卒業といったお祝い事にいたるまで、いわゆるハレの日は、買いそろえたり外で食べたりするのが慣わしとなった観さえあります。ふだんマメに作っているならまだしも、これではますますその家に伝わる個性的な味はなくなっていくでしょう。
- 毎日の食事も、ほんのちょっとした工夫でメリハリをだすことができます。テーブルクロスをおいてごらんなさい。気分、雰囲気が一変します。カーテンを替えてもいいでしょう。蛍光灯の白色をやわらかい色にするとか、お花を飾るだけでもちがってきます。たいせつな器も、しまっておくだけではもったいない。いつ地震がきてメチャメチャになるかもしれません。大事にしすぎて悔いをのこすより、大いに使ってたのしんだほうがよくはありませんか。
手っ取り早く安上がりなのは、照明をおとしてロウソクの灯りで食事をすることでしょう。おどろくほどかわります。今晩からでもできます。試してみてはいかがですか。災害時の予行演習にもなります。 ただ、「料理の××が隠れてイイネ」という"利点"もありますので、そう言われない(言わせない)ように、常日頃、料理の腕を磨いておくことです。小道具(演出)を、生かすも殺すも腕次第!
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