今 週 の レ シ ピ

・ベーシッククラス(9月第2週)のメニューより

●イカのマリネ    120kcal.  塩分0.7g

イカのマリネ [材料]  -6人分-

・イカ1/2尾
  塩/胡椒(こしょう)少々
  小麦粉少々
  揚げ油2カップ
・玉葱(たまねぎ)1/2個(100g)
・人参(にんじん)3a位(50g)
・ピーマン2個(50g)
◎フレンチドレッシング
  サラダ油大さじ3
  酢大さじ2
  塩小さじ1/2
  胡椒少々

[作り方]

  1. イカは皮をむき、食べやすい大きさに切り、塩/胡椒をし、10〜15分おく。
  2. フレンチドレッシングを作る。
  3. 玉葱…薄切りにしてさらし、2に加える。
    人参、ピーマン…せん切りにし、熱湯でさっと茹(ゆ)で、熱いうちに2に加える。
  4. 1のイカから出てきた水気をふき取り、小麦粉をまぶし、170〜180℃の油で揚げ、揚げ立てを3に加え、全体をよく混ぜ、そのまま漬けておく。

ポイントはここ


ちょっと一言

  • 「マリネ」とは、「マリナード」という漬け汁に漬けることをいいます。「マリナード」は酢、油、ワインなどにスパイス、ハーブなどを加えて風味を高め、漬け込む材料をやわらかくしたり、材料のクセを少なくしたり、仕上げる料理の保存性をよくすることに用います。
    マリネの代表格は「シーフードマリネ」(1年目特集4回目)。シーフードはエビ、貝類(帆立貝、あさり等)、イカ、ワカサギ、鮭…それぞれの材料に合った下処理をし、マリネすることで魚介類のうまみが生きてきます。
    肉をやわらかくするために、ワインを主にしたマリナードにマリネし、こしたマリナードでその肉を煮込む料理もあります。牛肉の赤ワイン煮(ブッフ・ブールギニヨン)は、その代表といえます。

≪組み合わせメニュー≫
    ◎トマトスープ
    ◎鶏レバーのフライ
    ◎カスタードプディング
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■食事と藥のあいだ 
  • 食事が、ただのエサに感じられる時ってあるものだ。最近こそ絶えて久しいが、昔はよくあった。私の場合、「食べる行為」から「楽しみ」を引くと、それになる。食事をしているのに、うまいまずいの味がしない。時間がきたら、箸をとって口に物を運ぶだけ。満腹感がある時もあればない時もある。定期的に習慣で腹に詰め込んでいるにすぎない。「エサだね、こりゃ」、自嘲気味にそうつぶやくことになる。
  • 「楽しみ」の素は二つある。食べる「自分」と、食べられる「食品」。心身ともに健康で、うまい物が食べられれば言うことはない。エサという認識は、もっぱら食べる側の自分に依っている。絶品であっても、味覚が正常に働かなければ「豚に真珠」(?)。反対に、空きっ腹ならたいていのものがうまいと感じられるが、こんな場合は少ない。食品側に"罪(責任)"はないのだ。
  • 認識の仕方も、心と身、すなわち精神的なものと肉体的なものに分かれる。身体が極度に衰弱していたり大病を患っていると、味覚はおろか食べることさえできない。エサというよりこの場合、入院・手術の経験が皆無なのでなんとも言えないが、まず藥であろう。生命維持、体力回復のため、食事以前に藥の服用が必要だ。食事ができるようになれば、健康に手が届くことで、楽しみとなる。だが、病身にエサうんぬんは不謹慎であろう。
  • 精神の膠着状態だったら、これまで数限りなく陥っている。恋愛、金、仕事、人間関係…がもとで、食事がのどを通らなくなった経験は山ほどある。たいがいは一過性のもので大事にはいたらなかった。進退窮まって、にっちもさっちもいかないと思っても、ある程度時間がたつと、岩から水がしみ出るようにまたぞろ食欲は湧いてくる。いつの間にか元にもどるものだ。が、絶食期間が短いからと安心はできない。人によっては、拒食症や巨食症(やけ食い)の分岐点になりうる危険水域である。
  • 家畜になっているという自覚で食うのがエサである。今で言うフリーターだった二十代後半、6ヶ月ほど季節労働者として自動車工場で働いたことがある。全寮制で昼勤・夜勤の一週間交替である。このときの食事はまさに「飼料」。工場というケージの中で飼われたブロイラーそのものだった。起床からはじまって食事、就業、休憩、トイレ、就寝、すべて時間が定められている。「食って動いて寝る」の繰り返し。体力だけが頼りである。エサを食わないことには体がもたない。味わっている余裕はない。体調不良は戦線離脱、目的の資金作りはそこで頓挫する。相当の覚悟と徹底した自己管理が要る。
    ある寒い朝、夜勤明けにフラフラで工場から出たまん前に、初冠雪して迫力を増した富士山が両手を広げて立っていた。その懐に飛び込んでいきたい衝動に駆られた。途端、私はたまらなく自分を嫌悪した。「いったいお前はなにをしている」。不覚にもそのとき落涙した。
    同室だったTさんは忘れられない。東北から来ていた。顔の整った物静かな人だった。部屋でもハンチングをかぶっていた。なにかの話から、つい聞いてしまった「田舎ではなにを?」。「なにも」。ほんとうになにもしないらしい。ニ六時中布団の中にいて、そこから庭を眺めるだけ。食事もしない、水も飲まない。ただただ寝ている。雨か雪でも降っていれば最高とか。見飽きることはないという。悲壮感もなく淡々と語る。ハードな労働と浮世離れした田舎のくらしが、にわかには結びつかなかった。なんとも風変わりな生き方である。でも、Tさんなら嘘もなく実践しているにちがいない。そう思わせる不思議な人物であった。
  • 経験上、エサの「自覚症状」があったら要注意だ。心か身体が不調を訴えている兆し。自分を取り巻く環境が、気が付かないうちに変化しているサインかもしれない。エサが藥にとってかわられないよう、対策を考える合図ということである。(小笠原)

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