今週のレシピ |
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・当学園は今週(10月29日〜11月3日)は5週目調整のため休講となります。[特集] 味の基本を大切に
現代は、さまざまな情報が飛びかっています。「食」に関する情報についても同様です。家族の健康を守るために必要なものを、正しく理解した上で、「家庭料理」の「味の基本」を大切に考え、実際の調理に役立てましょう。
=味の基本を大切に= (4回シリーズ)1.すべてにバランスを (3月掲載)
2.切り方に味がある (5月掲載)
3.下味付けが決め手 (7月掲載)
4.洋酒の効用
4.洋酒の効用
「酒」と「料理」はどこの国でも、お互いに引き立てあうなど深いつながりがあります。「飲用」のほか、酒が持つ味・香りなどはさまざまな効用を味作りに与えてくれます。例えば、魚介類の臭みをおさえ、肉類を柔らかくし、いろいろなソースに風味を加え、また食卓の演出にも不可欠な存在です。★ 洋酒の効用T
魚介類特有の臭みを、「白ワイン」で蒸し煮にしておさえます。火を通しすぎないように気をつけて、蒸し汁も「味作り」のために大切に使います。
● シーフードマリネ ● 143.5kcal. 塩分0.6g[材料] -4人分-
[作り方]
・エビ 4尾 ・帆立貝の貝柱 大2個 塩/胡椒(こしょう) 少々 白ワイン 50cc ・アサリ 殻付き200g 白ワイン 50cc ・キュウリのピクルス 小2本 ・オリーブ 5〜6個 ・ケッパー 大さじ1 ◎マリネ用ソース レモン汁 1/2個分 白ワインビネガー 大さじ2 オリーブ油 大さじ3 シーフードの蒸し汁 大さじ1 チリソース 少々 ウスターソース 少々 パセリのみじん切り 少々 塩 少々 ◎付け合わせ サラダ菜 トレビス イタリアンパセリ
- エビと帆立貝の貝柱は塩・胡椒をして鍋に入れ、白ワインをかけて蒸し煮にする。エビは殻をむき、帆立貝は横に4枚に切る。
- アサリは鍋に入れ、白ワインをかけてふたをし、殻を開かせる。
- 1と2の蒸し汁は布巾でこしておく。
- キュウリのピクルスは細切り、オリーブは半割、ケッパーはサッと水洗いする。
- マリネ用ソースを作り、1、2、4を漬け込む。
- 皿に5を盛り、サラダ菜、トレビスを添え、イタリアンパセリを散らす。
★ 洋酒の効用U
鳥獣肉(牛・豚・羊・鶏などの肉)を「赤ワイン」に漬け込んだり、煮込んだりすることで、硬い部位の肉もとろけるように柔らかくなるだけでなく、肉本来のうま味も引き出され、料理全体に重厚さが増します。
フランス・ブルゴーニュ地方の「コッコ・オー・ヴァン」(雄鳥の赤ワイン煮)と「ブッフ・ブールギニヨン」(牛肉の赤ワイン煮)は、煮込み料理としてたいへん有名です。● 牛肉の赤ワイン煮 ● 577.8kcal. 塩分1.6g
[材料] -4人分-
・牛肉(もも) 600g ◎A ニンジン(薄切り) 100g 玉葱(薄切り) 200g タイム 小さじ1/4 ローリエ 1枚 パセリの茎 2本 ニンニク 1片 ・赤ワイン 2カップ ・バター 大さじ1 ・サラダ油 大さじ1 ・小麦粉 小さじ2 ・トマトホール缶 1/3缶 ・ベーコン 120g ・マッシュルーム 8個 ・バター 小さじ2 ・小玉葱 8個 ◎B 塩 少々 バター 小さじ1 砂糖 小さじ1 ・塩 適宜 ・胡椒 適宜 ◎付け合わせ ボイルドポテト パセリのみじん切り
[作り方]
- 5cm角に切った牛肉とAを、肉がちょうど隠れるくらいの赤ワインに一晩漬ける。
- 翌日、肉を引き上げ、充分に汁気を切る。
- バターとサラダ油で肉を炒め、小麦粉を振りかけてさらに炒め、漬け汁とトマトのホール缶を加えて1時間位煮る。
- 煮汁をシノワーでこし、アクを取りながら10分位煮る。
- ベーコンは5mm角の拍子木切りにし、水から茹でて1分間沸騰させた後、よく水気を切る。
- 小玉葱は水から煮て、柔らかくなったら、Bを加えてグラッセにする。
- バターで5のベーコンと2つ割り位にしたマッシュルームを炒め、煮えた牛肉と小玉葱のグラッセ、4の煮汁を加えて5分位煮る。これを塩・胡椒で味をととのえて仕上げる。
ボイルドポテトに、パセリのみじん切りをまぶして付け合わせにする。★ 洋酒の効用V
欧州系の料理はソースを添えて食べるものが多く、特にフランス料理はソースが生命であり、「ソースのない料理はフランス料理ではない」とさえ言われます。適切なソースは、料理の味を驚くほど引き立てます。したがって、その料理の材料と調理法によってソースを選び、さらに風味がよく合う洋酒を加えることが重要になってくるのです。
料理用として、赤白のワイン、ブランデー、ラム酒、シェリー酒、キルシュ、マデーラ酒などをそろえておくと便利です。● グリーンサラダ ● 140.0kcal. 塩分0.3g
[材料] -4人分-
[作り方]
・サニーレタス 1/4束 ・アンディーブ 1/4個 ・クレソン 1束 ・セロリ 1本 ・クルミ 5〜6個 ◎ソース マヨネーズソース 大さじ4 シェリー酒(または白ワイン) 大さじ1〜2
- サニーレタスは冷水につけてパリッとしたら、食べやすい大きさにちぎって充分水気を切る。
- アンディーブは1枚ずつ株からはずし、5〜6cmの長さに切る。
- クレソンの茎は、切り取る。
- セロリは筋を取り除き、4〜5cmの長さのせん切りにし、冷水につけた後、充分水気を切る。
- クルミは殻から出して、150℃位のオーブンで5分程度焼いて7〜8mm角の大きさに切る。
- サラダ鉢に1〜4を形よく盛り、クルミを散らす。
- マヨネーズソースにシェリー酒(または白ワイン)を加えてよく混ぜ、サラダに添える。
★ 洋酒の効用W
アルコール度の高い洋酒は、温めることで燃え、淡いブルーの炎がゆらぎます。明かりを消して炎で演出する食卓は、いろいろな場面の思い出作りに最適です。もちろん洋酒のおいしさは料理やお菓子をより味わい深いものにしてくれます。 ただし、アルコール度の高い洋酒を使うので、量が多すぎると炎が大きくなり危険です。充分気をつけて、楽しんでください。
● クレープシュゼット ● 1枚分163.9kcal. 塩分微量[材料] -12枚分-
[作り方]
◎クレープの生地 卵 1個 グラニュ糖 25g 塩 少々 小麦粉 125g 牛乳 250cc ・バニラエッセンス 少々 ・バター 25g ◎シュゼットソース オレンジ 2個 角砂糖 6個 バター 100g オレンジキュラソー(グランマニエまたはコワントロー)
- クレープの作り方
- ボールにクレープの生地を合わせてよく混ぜ、冷暗所で2時間位ねかす。
- 焼く直前にバニラエッセンスと、溶かしバターを加える。
- 直径15cm位のクレープを、12〜15枚程度焼く。
- シュゼットソースの作り方
- オレンジの皮に、角砂糖をこすり付けて香りを移す。
- オレンジをしぼって、汁を1カップ分位用意する。
- 浅い鍋にバターをとかして角砂糖を加え、ゆっくりキャラメル色にする。オレンジの汁を加えてよく混ぜ、なめらかなソースを作る。
- 食べ方
- 弱火にかけたままのシュゼットソースの中に、クレープを折りたたんで入れ、味を含ませ熱する。
- 充分熱くなったらオレンジキュラソーをかけ、火をつけてアルコール分を飛ばす。
- ソースと一緒に皿にクレープを盛り、熱いうちに食べる。
★フランスでは、デザートとして1人分3枚を出す。
【野口料理学園】
塩ひとつまみ ■味わう人生 (その3)
【私からのコメント】(つづき)
昭和三十年代に入った頃、家に電話のあるのは商売屋さんがほとんどでした。我が家も隣りの燃料屋さんに「呼び出し」を頼んでいたことを憶えています。母が加藤照子先生の講習会のお手伝いをしていたのは、そんな頃でした。
講習会の前夜、九時はとっくに過ぎていたと思います。「加藤先生からの電話です」と、隣りの奥さんが知らせに来てくれました。夜遅くの電話は、子供心にも何とも不安になったものです。ほどなく戻った母が何を話すかドキドキしていました。「ポテトサラダのじゃがいもに、熱いうちに下味の塩をすることを忘れないように」。これが電話の内容でした。「甲府に到着するのは講習会のだいぶ前ですが、美容院に行きますから、下ごしらえは任せます」。その下ごしらえがいかに大事か、下味付けのタイミングが仕上がりの味にどんなに影響するか、母はこのエピソードを話しては、学園の授業の中で教えていました。一度もお目にかかることはできなかった加藤先生でしたが、小学校低学年の私に、「料理」を意識させてくださった最初の方です。
もう一つ、加藤先生のお教えとして、母が実践し、私に常日頃から口癖のように言ってくれたことがあります。「料理を教えることは技術ももちろん大切、でも、同じかそれ以上に大切なのが話術、人の心をとらえる話し方を心がけなさい」。母が健在の頃、何年たっても卒業しない奥様方がいらっしゃいました。「先生のお話が楽しいから」がその理由でした。大学を卒業して母の仕事を手伝うようになり、毎日のように講義を耳にしました。一回の授業を「どう料理するか」、どこがポイントか、どの辺で盛り上げるか、どのように実習に持っていくか…三十年たった今、まだまだ母の域には達していない。でも、少しでも近づけるよう毎日の授業で努力しています。大学進学の頃、卒業後は母の手伝いをすることになるだろうと考えていましたが、ほんの少しだけ「マダム・キュリー」のような化学者になりたいという夢も捨てられず、母と同じ日本女子大学に進学。食物栄養科ではなく、理学科の化学を専攻しました。しかし、昭和四十二年十月(大学一年生の時)に学園は山梨県の公認校となり、四十三年春には教室が四ヶ所にもなって、もう「化学者」の夢はほとんど冷めていました。が、途中で専攻はかえられず、卒業まではそのまま化学を続けました。
二年生の四月から、料理教室に通うことにしました。といっても、大学の敷地内にある同窓会「桜楓会」の学園でした。私にとっては初めて他人から料理を習うことになりました。先生は大学の大先輩・和田千恵先生、とても家庭的な優しい方で、祖母のいなかった私には「おばあちゃん」と甘えたくなるような先生でした。料理の内容、作り方がとても母に似ている…同窓生なんだから当たり前、と思っていました。一年コースを卒業、先生にはその後も校内でよくお会いし、お声をかけていただきました。数年後、先生の知人の中国人の料理の先生が、甲府で講習をしてくださることになり、和田先生もご一緒に私どもの学園においでくださいました。その時、私が感じていた、どこか母の料理に似ている謎が解けました。和田先生も加藤先生の門下生だったのです。秋になると、毎年、栗の甘露煮と渋皮煮を作ります。母はいつも一冊のボロボロの本を持ち出してきては、分量、作り方を確認していました。毎日作る惣菜とちがって、「一年に一回だから、間違うといけない」が口癖でした。また年一回のものは、かならずその季節に作ること、積み重ねが大切だとも言ってました。それにならって、母が亡くなった後も、私は一人でその本を頼りに、栗の煮物を作っています。
その本とは、加藤照子先生の『実用料理全集』(雄鶏社、昭和28年刊行)です。戦後まもない頃に出版されたもので、紙質が悪く、とても読みにくいのですが、「現代の食」にも充分対応できる実にすばらしい内容です。数年前、製本屋さんに頼んで、新しい表紙をつけて修繕しました。これからもずっとかわらずお世話になるだろうからと、感謝と期待とそして愛着を込めて…
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