今 週 の レ シ ピ

・ベーシッククラス(10月第4週)のメニューより

●厚焼き玉子    172kcal.  塩分0.6g

厚焼き玉子 [材料]  -6人分-

・卵5個
◎A
  出汁(だし)大さじ5
  砂糖大さじ6〜8
  みりん大さじ3
  醤油小さじ2
  塩少々
・焼き油
・大根おろし

[作り方]

  1. 卵はボールに割りほぐしておく。
  2. Aを鍋に合わせて煮立て、冷ます。
  3. 卵に2を加えて、よく混ぜる。
  4. 玉子焼き鍋に油をしき、3の卵液を3回に分けて流し込み、箸(はし)で空気を入れるようにしながら厚く焼く。
  5. 6人前に切り、大根おろしを添えてすすめる。

ポイントはここ


ちょっと一言

  • 厚焼き玉子は、だし巻き玉子とちがい、砂糖がたくさん入りますので焦(こ)げやすいです。できましたら、厚手の専用の鍋を使って欲しいです…。
  • 甘い玉子焼きですが、酒の肴(さかな)にもなります。そのときは、一口で食べられる大きさに切ってみてください。

【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■不思議な具 
  • おにぎりがブームとか。コンビニで、駅のスタンドで、そしてドライブインで、食べたいと思ったらいつ何時(なんどき)だろうと、それほどの時間を要しないで口にすることができます。中身の具も、絶対定番である梅干しのほか、今はアレもコレものなんでもござれ。今日ほどおにぎりが身近にあって、たくさん食べられている時代はないでしょう。1日いったい何万個、いえ何十万個のおにぎりが売れているのか想像もつきません。その昔、私など、「おにぎりといえば炊き出し」のイメージが強く、ほとんど非常食のように思っていました。あとは、遠足・運動会のときの携帯(携行)食です。今では主食であれ、間食であれ、時を選ばす場所を選ばす、万能食として好まれています。
    そうです、おにぎりの凄いところは、その利便性にあります。道具なしで一品の具を入れるだけで握りさえすれば、短時間に大量に作ることができます。食器もいらず、あっという間に多人数に行き渡らせることができます。移動しながら食せます。ある程度保存が利きますから時間をおいてもだいじょうぶです。満腹感があります。後片付けもいりません。臨機応変・融通無碍、いかようにも対応できるなんともすばらしい食べ物です。
    ファーストフードの王様ハンバーガーに、優に対抗しうる「和製ハンバーガー」の地位にあるといえましょう。食のグローバル化の象徴がハンバーガーなら、がっぷり四つに組んで譲らないおにぎりだって、アジアを中心に世界に打っていけそうに思います。具の多様性で勝負するほかに、変わりばえのしない外側のパンとちがって、ごはんはそれ自体、焼いたり味噌や醤油をつけたりと、いろいろな味をなじませることができますから、ハンバーガーとは比べものにならないほど変幻自在な風味を作り出せるはずです。

  • それはともかく、おにぎりがこれほど身近にありながら、人は買うばかりです。自分で握らない、握れない人のなんと多いことか。驚くばかりです。先日もあるクラスで20人ばかり(20代〜60代)に握ってもらいました。まともにできたのはわずかに2、3人。いくら握った経験がすくないといっても、この結果には暗澹としてしまいました。
    おにぎりには利便性のほかに、じつはもっと重要で見逃せない点があります。おにぎりを作るときというのは、握っている両の手にごくごく自然に食べる人へのもてなしの気持ちが込められている、そうは感じませんか。頬張る側でも、口当たりの強弱やごはんのかたまりの崩れ方などで微妙に握り手の感触を意識するものです。このとき両者のあいだには、連帯感という絆が生まれています。この共通の認識(一体感)が、たとえば緊急時、目には見えないけれど絶大な力を発揮して困難克服に人々を立ち向かわせるのです。そんな経験をあなたは持っていませんか。おにぎりにはこんなふうに、なんどか握って形をととのえていく中で、機械的に作っているようでも他の食品では得られない“不思議な具”も詰まっているように思うのです。

  • 当学園ではベーシッククラスの今月今週(10月第4週)のメニューで、「おでん」「厚焼き玉子」「金平煮」といっしょに、「おにぎり」をおしえます。メニューに「おにぎり」を加えたのは、昭和40年代になってからでした。きっかけは、つぎのような若いお母さんからの訴えです。"幼稚園に行っている娘から、○○ちゃんのお母さんはいろんな形のおにぎりが握れるのに、なぜお母さんはできないの? こう言われてしまって。お願いします、おにぎりの握り方をおしえてください"。折りしも、東京銀座に日本初のマック店がオープンしたころです。パンだサンドイッチだと、ごはん離れが目立ちはじめた時期と重なります。
    「おにぎり」を組み入れるについては、ずいぶん迷いました。"料理学校でおにぎりの握り方までおしえるなんて…""ほかにおしえるものがないのかしら"そんな声が聞こえてきそうでした。恥ずかしくもありました。ところが、やってみると意外な反響です。握れない人がホントに多いのです。生徒さんに喜ばれました。やってよかったのです。
    以来、今日まで続いています。その必要性は、当時とすこしも変わりません。握れない人の数の多さからいえば、もっと深刻です。お手軽・簡単・手抜きがもてはやされる昨今、これ以上ピッタリなものはないでしょう。究極の簡単食でありながら、作り手の心がストレートに相手に伝わります。おにぎりを介して互いに手と手を握り合う感覚、といってよいでしょう。この意味でも、せめて家庭ではぜひ素手で握ってください。
◎おにぎりの握り方 [基本は3型=三角形・丸型・俵型] [右手と左手はいつも90度(十字形)]   

基本は3型 両手は十字形

   まず、炊き立てのごはんを茶碗に盛り、中央に具を入れます。

  • [三角形]
    左手でごはんを握り、右手で三角形にととのえます。1回握ったら、ごはんを右手で手前に三角形の一辺分だけ回してください。これを5〜6回繰り返します。

    左手で握る 右手で三角 右手で回す できあがり

  • [丸型]
    丸型といってもボールのようではなく、「大根の輪切り」の形に握ります。左手は丸い形にしておくだけです。ごはんを右手で左手の指先のほうに回し、また握ります。これを5〜6回繰り返します。

    左手で丸 右手で握る 右手で回す できあがり

  • [俵型]
    俵型は、コルク栓のような円筒形に握ります。手の形は丸型とおなじですが、右手はもちろん左手も握ります。回す方向は、丸型とおなじです。おなじく5〜6回繰り返します。

    俵型をイメージ 両手で握る 右手で回す できあがり


ちょっと一言

  • おにぎりは、炊き立てのごはんで握るのが一番おいしいですが、炊飯器から直接手にとったら熱くて火傷寸前になります。一度、茶碗に盛ってください。ちょっと温度が下がって握りやすくなります。そのうえ、茶碗に盛ることでごはんの量が一定し、大きさも揃います。
  • おにぎりの具は、みなさんの工夫でいろいろ楽しめるでしょう。ここでは梅干し、かつお節、昆布の佃煮にしました。
  • 握る回数は、いくら愛情を込めてといっても、握りすぎると硬くておいしくありませんから、5〜6回で形がととのうようにしてください。
  • 利き腕は、右左どちらでも大丈夫です。
<これまでの塩ひとつまみ>

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