今週のレシピ |
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当学園は今週(4月30日〜5月5日)はゴールデンウイークの連休となります。[特集] 味の基本を大切に
一日3回の食事も、最近はさまざまな「食」から選択できます。何をどのように選んでいくか、その正しい積み重ねが家族の健康管理に、さらには家庭円満につながります。おいしい家庭料理のために「味の基本」の大切さを、もう一度見直してみましょう。
=味の基本を大切に= (4回シリーズ)
1.すべてにバランスを (3月掲載)
2.切り方に味がある
3.下味付けが決め手 (7月掲載)
4.洋酒の効用 (10月掲載)
2.切り方に味がある
材料の特徴を知り、おいしい料理に仕上げる大切な工夫の1つに「切り方」があります。選んだ切り方で味の良し悪しが決まるといっても過言ではありません。
今回は、みじん切り、せん切り、短冊切り,そぎ切り、大きめの角切り、飾り切りを取り上げて、これらの切り方がどのように料理の味に関わっていくのか見てみましょう。★ 切り方T みじん切り
一口にみじん切りといっても材料によって、また料理によってさまざまです。作る料理にふさわしいサイズを選んでください。みじん切りが料理の中できちんと役目を果たせるかどうかは、心を込めて細かく切ろうというあなたの気持ちにかかっています。● シュウマイ ● (1個分)52kcal. 塩分0.25g
[材料] -24個分-
◎皮 薄力粉 100g 熱湯 70cc ・サラダ油 大さじ1 ◎中身 豚ひき肉 200g エビ 正味100g ◎A 玉葱 中1/2個(100g) 干し椎茸 3枚 キャベツ 1枚(50g) 片栗粉 大さじ2 ◎B 塩 小さじ1 砂糖 大さじ1 酒 大さじ1 ごま油 大さじ1 ・片栗粉 大さじ2〜3 ◎C 醤油 適宜 練り辛子 適宜
[作り方]
- 皮
- 薄力粉をふるい、熱湯を加え、箸(はし)で練る。冷めたらサラダ油を加え、なめらかになるまでよく練る。
- 24個に分け、麺棒で直径8〜10a位に伸ばす。
- 中身
- エビは背わたをとって殻をむき、1a位のぶつ切りにしてから、さらに少し包丁でたたく。
- 豚ひき肉に1のエビを混ぜ、Bを加えてよく練る。
- Aをできるだけ細かいみじん切りにし、片栗粉をまぶして水分を抑える。
- 2に3を混ぜ、硬さをみながら片栗粉を加える。
- 仕上げ
- 中身を24個に分け、薄く伸ばした皮で包む。
- よく蒸気の上がっている蒸し器で10分位蒸す。
- 熱いうちに辛子醤油をつけて食べる。
ちょっと一言
- シュウマイ、ギョウザ、肉まんなどの中身に入れる野菜のみじん切りは、切った直後は一つひとつの味と香りがありますが、肉と調味料を混ぜ合わせて数時間ねかせることで、ひとつのおいしい味わいが生まれます。
- 日本ネギ、ニンニク、ショウガなどのみじん切りも、いろいろな料理を味わい深いものにしてくれます。
★ 切り方U せん切り
みじん切り同様、材料・料理の内容によって太さ・細さ、さらに長さもさまざまです。また、その材料に特有の繊維がある場合はせん切りの方向を考える必要があります。繊維にそって切るか、繊維を切るかによって味わいもちがってきます。繊維の硬さ・やわらかさの違い、歯ごたえの有無も切り方に工夫が必要になってきます。● ごぼうとにんじんの金平煮 ● 101kcal. 塩分0.9g
[材料] -6人分-
・ごぼう 150g ・にんじん 70g ・油 大さじ2 ・煮出し汁 大さじ5 ・醤油 大さじ2 ・砂糖 大さじ2 ・みりん 大さじ2
[作り方]
- ごぼう…2〜3_の太さで5a位のせん切りにして水にさらす。
にんじん…ごぼうと同じせん切り。- 鍋に油を熱し、水を切ったごぼうとにんじんをよく炒め、煮出し汁をいれて弱火でふたをし、やわらかくなるまで煮る。
- 調味料を加えて、中火より少し強めで煮て、照りよく仕上げる。
★ 切り方V そぎ切り・短冊切り
材料それぞれにふさわしい切り方にはひとつひとつに意味があります。火の通り方(煮え方)、色合い、歯ごたえ…。また、切り方を主になる材料の形に合わせると食べやすいこともあります。主役が大き目の角切りの場合、そぎ切りは少し大きめに、また細くて長いものが主になる場合は、そぎ切り、短冊切りを少し細めに切る工夫をしてみてください。(左から=筍の短冊切り、椎茸のそぎ切り、鶏むね肉のそぎ切り)
◎例として…
・筍の短冊切り 八宝菜 汁ビーフン 筍御飯 ・椎茸のそぎ切り 八宝菜 汁ビーフン ・鶏むね肉のそぎ切り 鶏肉のサラダ 汁ビーフン 筍御飯
ちょっと一言
- 「ビーフシチュー」の牛すね肉や牛バラ肉、「豚の角煮」の豚バラ肉、「チキンカレー」の鶏もも肉(できれば骨付き)など、3〜4a角に切っておくとよいでしょう。
- 肉のうま味を逃がさないよう、先に表面を焼き付けて固めてから煮込んでください。
- 焼き付けたときに出てくる脂肪分や、煮込むと出てくるアクなどは、丁寧に取りのぞくと全体の味がすっきりするでしょう。
- 一緒に煮込む野菜も、肉と大きさをそろえてやわらかくしたいときは、肉が少しやわらなかくなってから野菜を加えると、煮くずれがしません。
★ 切り方X 飾り切り
おいしいけれど硬くて食べにくい。そんなときは材料の性質を生かして切れ目を入れたり、さらに火を通したりすることで食べやすくおいしくなります。さらに盛り付けも美しくなるのが「飾り切り」。いろいろな材料で新しい飾り切りに挑戦してみてください。◎スルメイカの飾り切り
おいしいけど、ちょっと硬い代表「スルメイカ」は、火を通すと胴の部分は、クルッといつも一定の方向に丸まります。その習性を利用して、いろいろな飾り切りが楽しめます。[松笠イカ]
表側に、5_間隔で格子目を斜めに入れます。3〜4a角になるように、縦・横そぎ切りにします。
紅焼炒烏賊(イカと白菜の炒め物)[唐草イカ]
表側に、5_間隔で包丁を斜めに倒して切れ目を入れ、長さ7〜8a、幅1aに切ります。
他に、歯車イカ、花イカなどがあります。
【野口料理学園】
塩ひとつまみ
■食べ残し
- ブラジルのアマゾン川を下ったことがあります。200トンほどの船でした。乗客は二つの等級にわかれます。二人用の個室と甲板と。個室は木製ベッド、甲板は持ち込みのハンモッグを思い思いの場所にくくりつけます。個室客には食事が付き、ハンモッグ客は選択制です。食事の順番は個室客が先に、それからハンモッグ組。まず私たちがテーブルにつきました。小さい船ですから甲板の一隅です。仕切りもありません。衆人環視です。気になって仕方ありませんでしたが、タンバキーという川魚と、ご飯に豆をかけたものがとてもおいしくて、まわりの視線も忘れてしまうほどでした。
- 個室客が食べ終わりました。皿にまだ残っています。それが鍋に戻されました。次いでハンモッグ組。皿に盛られたのは、戻された鍋からでした。みんな平気で食べています。こちらは面食らいました。私たちが残したものを…ハンモッグの人たちに悪いと。ここはアマゾンなんだから、船上という特別な状況だからと無理矢理自分を納得させようとしました。この気持ちが彼らに通じたかはわかりません。残飯という感覚はなさそうです。食事そのものに等級はありません。メニューはまったく同じです。食べる順序がちがうだけです。なるほど、「同じ釜の飯を食う」とはここまでやって言うのではないかなどと、少々ピントの外れた連想に独りうなずいたことでした。
- 「残しちゃダメよ」。小さい頃から、耳にタコができるほどきつく戒められました。食べ物、とりわけご飯を残すなどとはもってのほか、「罰が当る」と家でも学校でも、それは口をすっぱくして言われて育ちました。それが今はどうでしょう。「食べられなかったら、残していいわよ」「食べたくなかったら、残していいよ」残しても、残っても構わないという風潮です。変われば変わるものです。価値観とか常識などというのは、不変ではないのですね。時代によってガラリと変わるのですから。
- 普遍でもないようです。国によって、民族によってちがいます。中国では残すという行為は、食べきれないほどごちそうしてもらったという証しで、むしろエチケットです。ラテン系の国にもそれはみられます。残らず食べてしまっては、量が足りなかった、つまりもてなしが不十分という意味にとられるのでしょう。残すなんてハシタナイ。物を粗末にする。よほど不味かったんだ、という理解とは正反対です。日本の常識は世界の常識ではありません。逆もまたしかりですが。
- 日本で、「食べ残し=悪」説が後退した理由は明白です。物が有り余るほど豊かな時代になったからです。有史以来なかった、飽食という現象が起こったのです。よほど特殊な例をのぞいて、飢えということばは聞かなくなりました。農水省発表の「食品ロス統計調査」によると、結婚披露宴の食事の4分の1が食べ残されるそうです。おめでたいハレの場に、豪華なごちそうがならびます。客は着慣れない服装でギコチなく食事するのですから、いよいよ食べられません。それを割り引いても、一般の家庭ですら8%近くが無駄に捨てられていると知って、いささか驚きました。昔はそもそも残飯の出る量が少なかった。生ゴミということばらすらなかった(?)。残っても、後始末をしてくれる処理班がいました。犬猫たちです。「ワンワンめし」「ニャンニャンめし」は、ちゃんと折り込み済みでした。今や彼らは残飯など受けつけません。ペットフードとして別メニューなのですから。
- 地球上で、食べ残す人間と食べ足りない人間のどちらが多いのか、恥ずかしながら咄嗟には答えられません。世界の紛争地域からはじき出される難民のキャンプ、アフリカや中南米、アジア、東欧など経済的に苦しい発展途上の国々の数をかぞえてみてはじめて、食べ足りなかったり飢餓線上にある人々の方がずっと多いとわかるのです。そうした思いから、ごはん一粒たりとも残してはならないと肝に銘じるのですが、体調しだいで食べられないときもでてきます。これを残飯として処理してしまえば生ゴミになるしかありません。家庭でもアマゾン流をおすすめしたいところですが、まぁ、日本人には身内といえども抵抗があるかもしれません。一度、箸をつけたものを鍋・釜にかえすのは不浄であると。器のまま置いておいて、あとから電子レンジで温め直すかして、食べるのもいいでしょう。なにより、余さないようにするには適量を盛ることです。 作るにも適量を心がけましょう。必要以上には作らないこと。それでも残ったら、別の料理に使うのです。残飯という意識は捨てましょう。次の料理の材料、ないしは下ごしらえ・仕込みと見なせばいいのです。いくらでも手はあります。それを生かす工夫こそが料理の本義なのです。
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