今週のレシピ |
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・ブライダルクラス(3月第1週)のメニューより● 春の花ずし ● 441kcal. 塩分2.8g
[材料] -6人分-
・米 3カップ ・水 3.6カップ ◎合わせ酢 酢 大さじ5 砂糖 大さじ2 塩 小さじ2 ・椎茸の煮た物 3枚分 ・かんぴょうの煮た物 60〜70g ◎いり玉子 卵 3個 砂糖 大さじ3 酒 大さじ1 塩 少々 ◎たらのおぼろ たら(生) 3切(200g) 砂糖 大さじ3 みりん 大さじ1 塩 少々 食紅 少々 ・さやえんどう 6枚 ・人参 少々 [作り方]
- すし飯
- 酢に砂糖・塩を加え、よく混ぜてとかし、ご飯が炊き上がる前に合わせ酢を作っておく。
- 椎茸・かんぴょうの煮た物を細かく切る。
- 盤台(ばんだい・はんだい=すし飯を混ぜるのに用いる浅い円形のたらい風のもの)に炊きたてのご飯を、中央をこんもり高く移し、2の具をのせ、合わせ酢を一度にかけ、ご飯をくずすように、むらのないよう手早く混ぜる。(ご飯粒がつぶれたり粘りが出ないように、シャモジは切るように使うとよい)
- 味が全体になじんだら、団扇(うちわ)で風をあて、ご飯につやを出す。
- すし飯に混ぜる具
- 椎茸の煮方
- 干し椎茸を半日〜1日かけて水で充分にもどす。
- 茎を取り、鍋に入れ、戻し汁をかぶる程度に加える。
- 大きいもの3枚に砂糖(大さじ2)、醤油(大さじ1位)を加え、汁気がないように煮る。
- かんぴょうの煮方
- かんぴょう50gを水につけ、しんなりしたら水を捨て、塩(大さじ1位)をかけて、よくもみ洗いをする。(1)
- 塩を洗い流して水につけ、充分もどす。(重さが4〜5倍になるまで)(2)
- 水気を切って鍋に入れ、3カップ位の二番出汁(にばんだし)を加え、5〜6分中火で煮る。(3)
- 醤油と砂糖を同量(大さじ5〜6)用意し、それぞれ大さじ1〜2位を加えて、5〜6分煮る。4〜5回繰りかえし、汁気が鍋底に少し残り、爪で簡単に切れる程度に煮て仕上げる。(4)
(1) (2) (3) (4)
- すし飯に飾る具
- 仕上げ
- 平皿にすし枠をおき、すし飯を八分目位つめ、ふたで上面を軽く平らにする。(1)
- いり玉子(2)、たらのおぼろ(3)、さやえんどう(4)、人参の花(4)を飾り、ふたで軽く押さえながら、まわりの枠をはずす。(5)(6)
(1) (2) (3) (4) (5) (6)
ポイントはここ
- すし飯のためのご飯は、少し水を減らして、かために炊くといわれますが、私は普通のご飯と同じに炊いています。電気やガスの炊飯器の場合、水を減らすと、かたくポロポロしたご飯になることがあります。そのため、合わせ酢をうってもおいしいすし飯にならないこともあります。炊きたてのアツアツのご飯に、手早く合わせ酢をうち、味がなじんだら、また手早く団扇で風をあてる。このことが、すし飯をおいしく作る一番のポイントです。
- 合わせ酢の配分は、すしの種類によってちがいます。上述の分量は、わが家(当学園)のちらしずしや巻きずし向きの割合です。
- すしを作るとき、盤台、木杓子、すしの型などが乾いていると、すし飯がくっついて調理がきれいにできません。どれも充分に水気を与えることを忘れないでください。でも、水っぽくなってはいけません。もちろん手も乾いていると、どんどん米粒がついてしまいます。「手酢」(水に酢を2〜3割り混ぜたもの)を用意して、常にしっとりとした状態で作ってください。
ちょっと一言
「春の花ずし」は、前園長(私の母)が考案しました。ちらしずしを正方形の木枠につめたものです。昭和20年代後半、結婚式の口取りは、立派な杉板の箱に入っていました。物心ついた頃の私は、その口取りの中のかまぼこが何より楽しみだったことを覚えています。同居していた母方の祖父はとても器用で、その箱をちゃんと取っておいては次から次へといろいろな木の器を作っていました。母は12a角5a深さの枠と、持ち手のついたふたを祖父に作ってもらい、それに1合分のすし飯をつめて、この「春の花ずし」を考えつきました。 はじめ祖父は、生徒のためにこのすし枠を作ってはプレゼントしていましたが、だんだん生徒の数が増してきて追いつかなくなり、近所の折箱屋さんに頼んで作ってもらうようになって今日にいたっています。現在は、一辺10a深さ3aとなりました。このすしは、わが家のおひな祭りには必ず食卓にのぼります。
≪組合わせメニュー≫
◎蛤(はまぐり)の清汁(すましじる)
◎たたきごぼうのごま酢
◎高野豆腐の含め煮
【野口料理学園】
塩ひとつまみ ■当世台所事情
- 鈍く光るステンレス製の流し台を中心に、大きくせり出した換気扇フード、コンロ・グリル・オーブンなどの最新調理機器、全面すべるような人工大理石でおおわれたカウンター、上下には同系色のユニット棚がすき間なくはめこまれ、それらが清潔な空間に無駄なく「コの字型」におさまって、まるでショールームを思わせる豪華なシステムキッチンです。ある知り合いの奥様の家に招かれて見せてもらいました。実にりっぱな設備で、自慢したくなるのも無理はありません。
- 「これは、見せるための台所よ」笑いながらそう言いました。さすがはお金持ち、20畳はあります。さらに奥に案内してくれました。ナント手前の立派なキッチンとは対照的に、道具類や食材が無造作におかれ、床といわず壁面といわず油やシミがあちこちににじんで、いわば生活臭をたっぷり吸い込んだお勝手という雰囲気。なぜかホッとしました。こちらが現役の台所だったのです。「モデルキッチン」のほうでは、エプロンはむしろはずしたほうが似合いそうでしたが、ここは割烹着がほしいくらい。「見せる台所」と「使う台所」を持てるとはさすがと、またまた感心しました。
- 近ごろ台所が立派になるにつれて、こういった客間・応接間なみに「見せる要素」が強くなってきた感があります。汚れるのが嫌だから、油を使う料理はしないと言ってはばからない人も出てきました。きれいな台所を自慢するのは、料理をあまりしませんと同義にとられても平気なようです。コーヒーやお茶を沸かす、レトルトをあたためたりインスタント食品をアレンジする程度のことで、油を使ったり手のかかる料理をして汚すよりは、いつも清潔さを保っていたいのかもしれません。人それぞれです。でも、ちょっと変ですよね。 台所は今や、煮炊きするだけの場所から、食堂や居間の要素が入り込んでいます。家という住環境全体の中で、台所も快適さをもとめられて当然です。「人に見せる」以前に、まず自分たちが気持ちよく使いたいという欲求なのです。見せる行為はその延長でしょう。
- これは「ダイニングルーム」の登場が、大きく影響しているようです。1950年代半ばの日本住宅公団がその発祥で、公団アパートの限られたスペースで住みごこちとの兼ね合いから台所と食堂・居間を兼用するDK、LDKの発想が生まれたということです。それが一般住宅にも浸透していきました。だからこれからも台所は機能化がますますすすんで便利に、そして美しくなっていくでしょう。「快適さ」に収斂された形で。
- くだんのお金持ちの奥様のように、「接待用キッチン」と「実用台所」が備えられれば言うことナシです(もちろん食堂も客間も立派なのが別にある)。寛(くつろ)ぐ、見せるを意識しないで、気兼ねなく料理手順のおもむくまま自由に台所を使えたら理想でしょう。広い間取りの農家など、独立した台所のあるところは幸せです。大方の庶民の台所事情はというと、「料理する便利性」と「食べる楽しさ」、プラス「見せる快感」これらが微妙なバランスのうえに成り立っていると言えます。ただし、これらはあくまで脇役です。下から支える三脚です。メインは料理。しかも「おいしい」料理がテーブルにのることを忘れて欲しくありません。
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