今 週 の レ シ ピ

当学園は今週(7月28日〜8月2日)は5週目調整のため休講となります。

 [特集] 備えあれば  

毎日の食事の献立を、買い物しながら考えていませんか。せめて3日分、できれば1週間分の献立を立てたなら、計画的にまとめ買いができ、買い物に費やす無駄な時間を料理に役立てることができます。乾物類、冷凍食品、缶詰は、備えておくことで献立の内容が豊かになります。

 =4回シリーズ=
 1.乾物…賞味期限に気をつけて
 2.冷凍食品…温度管理を大切に
 3.冷凍食品…ホームフリージング
 4.缶詰…中身を全部たいせつに

3.冷凍食品…ホームフリージング

■家庭のフリーザーは、−18℃程度にしかなりませんから、凍結が緩慢になってしまいます。市販の冷凍食品のようになかなか「急速冷凍」とはいきません。
そこで、ホームフリージングに向く食品をできるだけ「急速冷凍」に近づけるよう工夫することが大切です。

◎ホームフリージングに向いているもの(パン、ごはん、納豆、アンマンなど)
  ・乾燥食品(乾物類)
  ・食品中の水分が比較的少ないもの
   (塩や調味液に漬けたもの)
  ・すでに細胞組織が変化しているもの
   (すりおろしたり、裏ごしした野菜など)

◎ホームフリージングに向かないもの
  ・生の肉、魚介類、生卵、ゆで卵、牛乳、ホイップしていない生クリーム、豆腐、こんにゃく、プリン、ゼリー

◎注意点
 1.フリーザーは、できるだけ空のときに行なう。
 2.食品の厚さを薄くしたり、小分けにしてラップなどにしっかり包み、あらかじめよく冷やす。
 3.熱伝導のよいアルミのプレートなどに、重ねないで平らに並べる。
 4.温度調節を、もっともよく冷える状態にする。
 5.凍結中は、ドアを開けないようにする。

◎品名や冷凍した日付を記入し、2〜3週間以内に使い切るようにしてください。

◎ホームフリージングの例
 ピラフ、チャーハン、ごはんなどが残ったとき、こんなホームフリージングはいかがですか。

1.正方形の木枠に、茶椀1杯分のごはんを詰める。
2.ふたでしっかり押さえ、枠をはずす。
3.包丁で4等分に切り、一つずつをラップでしっかり包む。
4.フリージング用の袋に入れて、内容と日付を書いて冷凍する。


●ポテトグラタン(冷凍食品フライドポテトを使って)    212kcal.  塩分1.1g

ポテトグラタン [材料]  -4人分-

・冷凍食品フライドポテト1袋(250g)
◎A
    牛乳2カップ
    塩小さじ2/3
    胡椒(こしょう)少々
・ブールマニヨン適宜
・チーズ適宜
・型用バター少々

[作り方]

  1. 鍋にAを入れ、80℃位に沸かし、凍ったままのフライドポテトを加え、中火で3分位煮る。
  2. 薄くバターを塗ったグラタンに、1のポテトを盛る。
  3. 鍋のAにブールマニヨンを加えて少し煮て、薄いとろみがついたらポテトの上に流しいれる。
  4. チーズをふりかけて、高温のオーブンで焼き目をつける。
ポイントはここ
  • 牛乳は沸騰させないように、牛乳から少し泡が出て、鍋を動かしても泡が消えなくなったら、すぐに凍ったままのポテトを入れてください。
  • 長いポテトがありましたら、凍ったまま手で適当な長さに折ってください。
  • ポテトを入れたら、あまりグツグツ煮立てないように、中火でコトコト「3分」煮てください。
  • グラタン皿には薄くバターをぬり、煮えたポテトだけを盛ります。穴杓子(あなじゃくし)を使い、よく汁気を切ってください。

    凍ったまま入れる 穴杓子で取り出す

  • ブールマニヨンは、バターと小麦粉を同量混ぜ合わせて、半日位(5〜6時間)おいてから使います。ソースにとろみをつけるのに使います。ここでは、それぞれ大さじ2ずつを混ぜたくらいで、とろみになると思います。
    「グラタン」ときくと、すぐ「ホワイトソース」と思う方もいらっしゃるでしょうが、この「ブールマニヨン」のとろみも、おいしくできます。

    ブールマニヨンを加える クリーム状のソースをかける

  • 使うチーズはパルメザン、ゴーダ、モッツァレッラ、グリエールなど、お好みのものをどうぞ。
  • 「グラタン」は、焼き色をつけることです。強火のオーブン(200℃以上)で、グツグツ煮え立って、表面に焼き色がついてきたら出来上がりです。
ちょっと一言
  • 冷凍食品の「フライドポテト」の本来の調理法は、油で揚げるものですが、「ポテト」として使うことを考えてみました。約80%は火が通っていますので、牛乳で煮る時間が少なくてすむのではないかと、このグラタンを思いつきました。食材を、本来の使い方とはちがう調理法で実践してみると、新しい発見があって楽しいものです。みなさんも、ぜひ取り組んでみてください。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■水と塩

7月25日、恒例の富士登山競争(山頂コース)に出た。56回目を迎えるこのレースは、富士吉田市役所から富士山頂までの全長21キロ、標高差3006m、気温差21℃を一気に駆け上る。それも、4時間半以内という他に例を見ない過酷さで知られている。

参加申込みのパンフレットにも、「高所・急勾配の山岳レースで、難度の高いコースのため、熟練ランナーのみ参加可能です」と太字の注意書きがあるほどだ。完走者は毎年50%を割る。去年は39%だった。

当然ながら年齢制限がある。以前は50歳未満だった。それが、近頃の中高年の元気さに押されて(?)55歳未満に引き上げられ、さらに前回からは60歳未満まで緩和されている。

私は7回目の出走である。これまで幸いスレスレでゴールしてきたが、走るたびに完走できるかどうか強いプレッシャーがかかる。とりわけ今年は梅雨明けが遅れ、天候(気温)が読めないので不安がつのった。なんといっても大敵は暑さである。大量の発汗による水分補給がポイントとなる。

7時半のスタート時で気温19・6度、曇り。湿度は高そうだが雨の心配はない。コンディションとしては上々である。2362人が一斉にスタートした。

沿道の声援をうけ、富士山頂をめざして市中の坂道を駆けぬけていく。浅間神社をかすめて7キロ地点「中の茶屋」が最初の給水所だ。紙コップの水2杯を強引に口に流し込む。レモンもかじった。
4キロ先の「馬返し」までは小道ながら舗装がしてある。蒸し暑さで体が重い。傾斜がかかって、つい足を止めたくなる。だが、ここで歩いたら完走はおぼつかない。

11キロ地点の「馬返し」。ここが本来の富士登山の入口だ。第2給水所がある。タイムは1時間5分。去年より5分遅い。大丈夫か? 不安がよぎる。スポーツドリンクのほか干しブドウ、レモンを口に入れ、塩の塊に指を突っ込む。汗で、磁石に張り付くように塩が付着する。その指をしゃぶりながら先を急ぐ。

ここから本格的な山道だ。トップグループはかまわず走る。われわれ当落線上のペーペーは、そんなことをしたらたちまちつぶれる。迷わず歩く。
3合目の給水所をすぎて、ふくらはぎが痛み出した。早すぎる! このあたりで痙攣を起こしたら、5合目までももつかどうか…。ペースを落とす。だましだまし行くうち、痛みは治まり体が軽くなった。

樹林帯を脱けた5合目が第一関門所。2時間半以内に着かないと失格する。シドニーオリンピックのマラソン代表だった川嶋伸次選手がトップで通過したという。こちらはちょうど2時間でまずまずだ。

水、スポーツドリンクかまわず飲みほし、バナナ、小梅、干しブドウ、レモンを手当たりしだいつかみ取り。仕上げに、塩の山に手全体をまぶした。真っ白になった手のひらをなめなめ歩きを続行する。脱水症状もそうだが、"脱塩分"も注意がいる。今年から6合目にも給水所がお目見えした。給水はパスしないのが鉄則だ。

7合目から山小屋が連続する。8合目まで2箇所で給水。小屋の人がボランティアでふるまってくれる。一般登山者も、道を譲ったり声をかけてくれる。梅雨が明けていないせいか、今年は思ったより少ない。そのぶん、岩場での渋滞がなくて助かる。

初登場がもう一つあった。岩場を通行中、上から声が降ってくる。
「しお・さとう。しお・さとう。しお・さとう・・・」
はて???

登山者が岩場に腰を掛けて、両手を差し出している。
「しお・さとう。しお・さとう。しお・さとう・・・」
手にはそれぞれ、袋を破った剥き出しの塩と砂糖がのっている。
ランナーに提供しているのだ。わざわざここまで登ってのサービス、無視しては通れない。人差し指に塩のほうをつけさせてもらった。

その岩場をすぎて、8合目の第二関門所までが、私の場合、コース中もっとも呻吟する区間である。ジグザクのザレ場が連続して足をとられる。思うようにすすまない。岩場で消耗した体力がさらに衰弱する。気力も萎える。朦朧としてきそうだ。ここが核心部だぞと言い聞かせ、我慢するほか手はない。

やっとの思いで関門所に辿り着いた。ここにも4時間以内という制限がある。しかしギリギリ到着では完走はむずかしい。残り30分でのゴールは至難だからだ。トップクラスで20分、速い選手で30分、ここまでが4時間レベルだと、40分以上はかかるとみなければならない。

初挑戦のことを忘れない。マラソンを始めたばかりだった私は、山歴28年の自信をひっさげてレースにのぞんだ。富士山より高い山だって登っているんだと。ところが7合目の岩場で両脚に痙攣を生じた。山での痙攣は初めてだった。8合目の第二関門は息も絶え絶え、通過時間もわからなかった。頂上までは、文字通りハッテいった。制限時間4時間半の57秒前にかろうじて滑り込んだ。タイムアップ寸前である。悔しいやらうれしいやら、なんとも情けないゴールだった。

今回の8合目は3時間37分。完走を確信した。ゴールまでは、歩みを止めさえしなければ時間内に着いてくれる。山小屋でスポーツドリンクを購入(1本500円也。買うのは自由)、一息いれる余裕もあった。

こうして無事山頂にゴールした。タイムは4時間12分。去年より1分遅いだけだった。かのシドニーオリンピックのマラソン代表は、5合目以降つぎつぎ追い抜かれ、89位でゴールイン。平地を走るようにはいかなかったようだ。
完走は1050人(完走率48・32%)。終わってみれば、水と塩の道のりである。発汗とともに出しては摂り、摂っては出すの繰り返しだった。

私に遅れること数分、ひとりのランナーがゴールした。給水所でしゃべっているのが聞こえてきた。
「59歳でこれで終わりです。最後が飾れてうれしいです!」
まさに有終の美を飾ったことになる。上位タイムの入賞者はもちろんだが、制限年齢最後で完走を果たした選手は、これもまた「表彰状もの」である。思わず拍手を送った。祝福したかった。たとえようもない笑顔がかえってきた。自分の完走よりうれしかった。来年もまた、水と塩の単調な流れの中に身を投じたい、そう思った。 (小笠原)


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